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ネマタの戦術本レビュー第536回「片山まさゆきの楽勝麻雀 著:片山まさゆき  その16」

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Q23

 スルー

 「鳴かないと間に合わないから鳴く」「鳴いても間に合いそうにないから鳴かない」これも見解が分かれやすい問題です。

 たとえ安手悪形だとしても、テンパイであればリーチ相手に押すのは(少なくとも完全にベタオリするのに比べて)そこまで悪い選択ではありません。リーチが入る前ならもちろんテンパイしていた方がよいので、「他家のリーチが入る前にテンパイできる可能性がどの程度あるか」が鳴くかどうかの重要な要素になると言えます。

 6巡目ですぐにでもリーチがかかることを想定すると引き過ぎになりがちなので、他家リーチが入る前にもう1手進むことくらいは期待してもいいと思います。今回はを鳴いてもう1手進んで悪形残り2翻の1シャンテン。この時点でリーチが入れば無スジを勝負するのは厳しいので、手牌を短くせずに降りやすい手組にしていた方がよくなります。

 また、「鳴かないと間に合わなそう」といっても、メンゼンでテンパイすれば三色で満貫、跳満となることも低確率ながらそこまで非現実的ではないというのもスルー寄りの要因です。基本的には1メンツも無い段階で、鳴くと2翻以下のうえに安牌が抱えにくい手牌になる場合はスルーが無難とみます。

 ただし、2000点でもアガリの価値が高い局面やルール(鳴いても赤ドラに高い祝儀がつく)の場合や、そもそもメンゼンでテンパイしたところで高打点になりにくい場合は、「安くて遠い鳴き」を敢行することもあります。その場合にお勧めなのが、「鳴いたうえで守備力の残る手組を作る」ことです。

 今回の手牌は6ブロックなのでターツを1つ外してもシャンテン戻しになりません。前巡の2枚切れを安牌として残して、三色絡みの5ブロックに絞りを落としておくというのはどうでしょうか。これならさほどアガリ率を落とさずに、鳴いてテンパイする前にリーチが入っても少なくとも一発放銃は避けることができて失点を軽減することができます。余った牌を攻撃にも防御にも回せるのが5ブロックのメリットであることはQ20でも申し上げました。攻めるか守るかという判断も重要ですが、攻めの中にも守りの要素があり、守りの中にも攻めの要素が含まれていることも多いのが麻雀というゲームです。攻防一体の打ち回しを心がけたいですね。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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