- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
PART1 序盤の手組
5 ブロックが足りているときの比較
「ブロックが足りなければ字牌から切る」が原則でしたが、ブロックが足りている場合は、「よりよいブロックを作らない牌がほぼ不要」になるため、何を切るかは残りのブロック次第。ブロックが足りてない場合のようなシステム化が難しくなり、個別の手牌に応じた判断が必要になります。配牌の時点でブロックが足りていることも少なくないので、浮いている字牌に手をかける前にブロック数を数えておくことをお勧めします。
「好形確定」と「好形変化」の違いについて触れられている記述はこれまであまり類を見なかったかもしれません。もちろん本書にある通り変化としての質が段違いですが、好形変化だけでも残すに越したことはないので、確定か変化で判断が変わるケースについては、手牌Bとp28の牌姿のようなケースに限られます。それについても、後者は平和がつきやすく、三色が崩れやすくなっているのでという形でも説明がつけられます。
手牌ACは本書の通り手役に絡まないターツより手役絡みの浮き牌の価値が高くなるケース。Aは先にさえ引かなければ残しが活きますし、Cは先にさえ引かなければ残しが活きます。裏目ではなく、裏目でない手が進むツモでどちらがよい手牌になるかを考慮すれば判断しやすいです。
6 複合形・連続形
ここでの「複合形」はターツ+フォロー牌あるいはメンツ+ターツ、「連続形」はメンツ+浮き牌の形を指します。こうした形の特性を把握して、どういう機能を有するのかについて覚えられるならそれに越したことはありませんが、組み合わせが出来ていることにさえ気付けていれば、後は手組5同様、「裏目ではなく、裏目でない手が進むツモでどちらがよい手牌になるか」で判断できます。
例えば手牌Aならを残せばツモでを切ればよりよい手になる。手牌Bはを残せばツモでを切ればよりよい手になる。手牌Cはツモでを払っていた方が受けが狭まるとはいえタンヤオがつく。手牌Dはを残すことでツモでを払ってドラをもう1枚受けられる形になるという感じで判断します。手組と聞くと色々覚えて、考えなければならないことも多いという印象を持たれる方もいるかもしれませんが、実はこのように「一手先の形」さえ評価できるようになれば自ずと何切りがよいか判断できるようになります。
鬼打ち天鳳位の麻雀メカニズム
「麻雀は考えるのが大事とよく言われます。では実戦でどうすればより良い思考ができるでしょうか。答えは単純で、『考えられた結果を手が勝手に出力する』ようにすること
です」(まえがきより)
麻雀とは人間の処理能力を超えた情報量を与えられ、限られた時間でそこから最適解に近いものをいかに導き出すか、というゲームであると言えます。
その際に役に立つのが「システム」です。状況をある程度パターン化し、抽象化することで個々の事象に対して、最善の選択をする可能性を上げることができます。
本書があなたに提供するのは最高レベルのシステムです。驚異的な打荘数で知られる「鬼打ち天鳳位」ことお知らせ氏が生み出し、磨き上げられた55のシステムとその詳細な解説が本書に書かれています。