手牌構成を表す麻雀用語としてよく聞くのが「完全1シャンテン」ですが、これも定義が人によってまちまちです。どのようなものがあるか、定義の狭い順にまとめることにします。手牌の分類については第194回で取り上げた方法を使わせていただきます。
①「23322」の1シャンテンで、「22」がリャンメン+リャンメントイツの手牌で、なおかつ鳴いても役がつくもの。
完全1シャンテンは、昭和初期、沼崎雀歩氏が考案した「沼崎定跡」で初めて取り上げられたとされます。完全1シャンテンの形を1シャンテンの理想型として、「ポンよし、チーよし、ポンチーよし」という言葉で表現されています。「ポンチーよし」というくらいだから、元来の定義からすれば鳴いても役有りの手牌に限定されるという考え方です。
② ①の定義から、「鳴いても役がつく」を除いたもの
しかし、沼崎定跡が考案されたのは、そもそもリーチ麻雀以前、1翻縛りの概念がない頃の話です。それなら「ポンチーよし」と言っても、役の有無は関係ないとする考え方です。
③ ②の定義から、リャンメントイツに限定せず、リャンメン+受けが増えるフォロー牌も含むとするもの。
のようなリャンメンカンチャンもこの場合なら含まれます。
④ ③の定義から、リャンメンに限定せず、テンパイ時に必ずリャンメン相当の良形待ちが残る形も含むとするもの。
のようなエントツ形+フォロー牌もこの場合なら含まれます。
⑤ ④の定義から、「23322」の1シャンテンに限定せず、「13332」の1シャンテンでテンパイ時に必ずリャンメン相当の良形待ちが残る形も含むとするもの。
アンコを含んで3メンツ+2リャンメンなら、2メンツ+リャンメン+リャンメントイツより手広いうえに必ずリャンメン待ちが残ります。こういった形もこの場合なら含まれます。
⑥ ⑤の定義から、リャンメン相当の良形待ちが残る形に限定せず、受け入れを増やさない浮き牌が無い1シャンテン全体を含むとするもの。
リャンメン+リャンカンのような、テンパイ時にリャンカンが残ると悪形待ちになる形もこの場合なら含まれます。
沼崎定跡が元になっていることを踏まえれば、定義としては②が適切だと思いますが、手牌の価値がほぼ変わらないのであれば、同じ名前を当てても戦術面で差し障りがないので、③も完全1シャンテンに含んでよいと考えます。明らかに手牌の価値が変わる⑤⑥については、別の言葉をあてがうべきでしょう。④のケースを認めるかどうかは迷いますが、手牌の価値としては大差ないとしても形のうえでは結構変わるので、どちらかと言えば含めない方がよいと考えます。
現状結構定義がまちまちなうえに、「完全1シャンテンではないが、同程度かそれ以上にアガリやすい1シャンテン」についてそれぞれ名前を付けるというのも難しいので、これも結局のところ、ターツの組み合わせをそのまま呼ぶようにした方がよい気がしますね。