2021シーズンのMリーグドラフト会議前に、Mリーグファンに衝撃が走った。KONAMI麻雀格闘倶楽部の前原雄大、藤崎智の契約満了が発表されたからだ。
Mリーグ史上初の自由契約選手に、悲しみの声があがり、労いの言葉が飛び交う中、次に格闘俱楽部のユニフォームを着る二人は誰だとファンは予想に沸き立った。
予想の内の一人には、EX風林火山を離れた滝沢が有力視されている中、ドラフト当日、スクリーンに映し出されたのはプロ3年目の伊達朱里紗の名前だった。
えっえっえっえっえっえっえっえっえっえっ
— 伊達朱里紗(だてありさ) (@_datex_) August 2, 2021
自宅でドラフト会議を見ていたという伊達は、思わずTwitterに驚きの声を呟いていた。ドラフトから1週間たち、契約合意に至った伊達にオンラインでインタビューを行った。
「ドラフトの時はパニック状態でした」
──指名を受けたときの気持ちをお聞かせください
「とにかくびっくりしました。ドラフトを自宅で見ていたのですが、驚きすぎて手が震えて、そのあと涙が出てきました。一種のパニック状態でしたね」
まってまってまって手の震えとまらん
— 伊達朱里紗(だてありさ) (@_datex_) August 2, 2021
──風林火山オーディションも出場されていたこともあって、指名される可能性はあると思っていましたか?
「全く思っていませんでした。麻雀ウォッチの事前アンケートでも、私の名前があるのを見て、『えっ、私こんなところに名前があがるような人だっけ……?』と思っていたのもあり、本当に考えられないことが起こっているという感じでした」
【Mリーグ】8月2日のドラフト会議で指名される選手は誰だ!?麻雀ウォッチアンケート結果!
──Mリーグ開幕当初からMリーガーになりたいという意識はあった?
「全然なかったです。風林火山オーディションも、出れるタイトル戦はなんでも出よう、というスタンスがあって受けたものでした。出れるチャンスがあるものは全部でて、Mリーガーになりたい!というよりは頑張れるものは全部がんばる!みたいな感覚です」
「オーディションに関しては、最後は狙われるポジションでしたが、それでも私はレギュレーションポイントで81ポイント貰ってあの位置だったので、それがなかったら箸にも棒にも掛からなかった立場でした。準決勝にはいけませんでしたが、注目してもらえたのでよかったと思います」
「本当にたまたまいろんなタイミングがかみ合って麻雀格闘倶楽部から指名を受けましたが、成績を残すことができなかったら、すぐ契約満了になります。ですが、私のようなプロ歴が浅い選手でも選ばれたという事実は、若手プロにとっては良いニュースになったんじゃないかと思います」
麻雀を覚えたキッカケは咲-Saki-
──麻雀プロ歴は今年で3年目ということですが、麻雀との出会いをおしえてください
「高校生の時にたまたま深夜でやっていた『咲-Saki-』のアニメを見て、ルールがわからないけど面白いなと思ったのが麻雀との出会いでした。そのあと、祖父や大学の先輩に麻雀を教えてもらって、友人同士で麻雀を楽しく打つようになりました。その後、声優として『咲-Saki-全国編』のオーディションをいただいたんです。その作品は私が声優として初めて合格したオーディションなので、『咲-Saki-』にはとても縁を感じています。ニコニコ生放送でも、ネット麻雀を打つという企画もあったので、より一層麻雀を勉強しました」
──連盟を選んだ理由は?
「『咲-Saki-』の関係者やスタッフさんにおすすめされました。連盟に所属している声優の大亀あすかさん、岡田紗佳さんとも元々知り合いだったので、声優という一芸があるのなら、連盟だとお仕事もしやすいのではと思ったのと、単純に連盟に好きなプロが在籍していたというところもあります。プロ入り前にRTDを見ていて、瀬戸熊さんや滝沢さん、勝又さんなど、そこで活躍されている方が強くて魅力的だと思っていました」
3回の決勝経験を経て、勝負所が見極められるようになった
──伊達選手の麻雀はご自身で表現するとどんな麻雀ですか?
「紆余曲折を経て、『押さなきゃ勝てない!戦わなきゃ勝てない!』という結論になりました(笑)。最近は勝負所で押し切って勝つみたいな感じです。というのも、プロになって初めての放送対局がWRCリーグの決勝だったのですが、緊張もあり、全く押せなくて、とても後悔したからなんです。なので次、何かの決勝に出たときは、絶対に押し切ろうと思っていました」
「そう思って臨んだのが2020年の年末に行われた麻雀格闘倶楽部第3回プロNo.1決定戦でした。そこでも決勝戦に進むことができたのですが、オーラスに裏一倍満ツモ条件のリーチを打って、結果はツモれたんですけど、裏が乗らなくて準優勝だったということがあって、すごく悔しかったんです。そのときはWRCの反省を踏まえたうえで押していったんですけど、引くときは引かなきゃだめだとまた反省する内容でした」
「ヤミテンを駆使したり、守るところは守らなくちゃだめだという経験と反省をもとに、2021年3月の桜蕾戦では、押すところ、引くところにメリハリが効いて、勝負所が見極められるようになったことで、優勝できたと思っています」
第1期桜蕾戦優勝は伊達朱里紗!
— 日本プロ麻雀連盟 (@JPML0306) March 29, 2021
優勝 伊達朱里紗
2位 早川林香
3位 内田みこ
4位 中田花奈
伊達は4月より女流桜花Aリーグとなります! pic.twitter.com/Zh53rG1X5W
※桜蕾戦:次世代スターの発掘を目的に、2021年日本プロ麻雀連盟で設立された世代限定のタイトル戦。男性プロは若獅子戦、女性プロは桜蕾戦の名称で分けて行われる。出場資格は予選初日に29歳以下であること。若獅子戦、桜蕾戦それぞれ年二回開催、ルールは前期がWRCルール、後期が連盟公式ルール。
一生懸命放送対局を見て、実況解説をすることで勉強してきた
──新人ながら決勝で戦う経験が多い伊達選手ですが、どうやって麻雀を勉強してきましたか?
「とにかく色々な麻雀番組を見てました。見るだけではなく、一生懸命見て、友人と自分なりに実況解説をするんです。ただ麻雀番組を見るより、実力が身につくと思います。特に今年に入ってからは、連盟の中でも実況する機会が増えて、そうなると、解説にいるトッププレイヤーに自分の聞きたいことをすぐに聞けるありがたい環境に身を置けるんですよね。そういうところが自分の麻雀のステップアップにつながっているのではと思います」
KONAMI麻雀格闘倶楽部はもともと好きなチーム
──既存の選手たちからコメントはありましたか?
「まだ実は滝沢さん以外の選手とは接していないんです。滝沢さんは女流勉強会や夕刊フジのチームコーチを勤めてくださっているので、その時にお話しました。私のプレッシャーなどを察してくださって『一戦一戦、自分が成長しているなと思いながら打てたらいいと思うよ』と仰ってくださって、とてもありがたかったです。シーズン中はミスや後悔があって、落ち込むこともあると思うんですけど、一回失敗したら次は繰り返さないようにしようという心構えができる言葉でした」
──KONAMI麻雀格闘倶楽部の印象は?
「もともと好きなチームだったので、藤崎さん、前原さんもそうですし、寿人さん、滝沢さん、高宮さん本当に個人個人が強くて魅力的で素敵な方ばっかりで、ご一緒させていただくのは本当に恐縮です。でも、このチームに選んでいただいたからには、思う存分自分が成長できるように頑張ります」
──即戦力として指名されたということにプレッシャーはありますか?
「そう言っていただいたからには、今まで以上に勉強して、結果で返せたら最高だと思います。チームメイトの皆さんが頼りがいのある先輩ばかりなので、胸を借りるような気持ちで大手振って臨みたいです」
──開幕までの具体的な準備は?
「とにかく、赤入り麻雀が強い人とたくさんMリーグルールを打っています。どんなに麻雀番組をみたところで、打ち込みが足りてないとすぐに引き出すことができないと思うので、麻雀番組をしっかり見てインプットしたあとは、とにかくアウトプットするぞと、数をこなして準備しています」
──赤アリ麻雀を打つ上で大事にしたいことは?
「普段は赤ナシの一発、裏ドラアリのルールで打つことが多いのですが、例えば赤アリ麻雀で一段目両面チーとか入ると、勝手に赤赤以上、ドラドラ以上だなと思い込んでしまうことがありました。赤入りだから早く仕掛けられたら高いんだ、まっすぐ打ってくる以上、高いんだと怖がってしまうことがあったのですが、いざ手牌を開いてみると打点があるわけではないということもあったりするので、いずれにせよ、見えないものに怯えすぎるのはよくないなと、相手の手出しツモ切りをしっかりみて、距離感を図って怖がりすぎないようにしたいです」
「瀬戸熊さんのように応援される選手になりたい」
──将来的な麻雀プロとしての目標は?
「応援してもらえる選手、連盟の先輩でいうと、瀬戸熊さんみたいな選手になりたいです。私が優勝した桜蕾戦も、未来のスターをつくろうと、瀬戸熊さんが発案してくださったものなのですが、そこまで団体や業界、人のことを思いやれるのって本当にすごいと思うんです。瀬戸熊さんのお人柄が伝わって、瀬戸熊さんが連盟道場のゲストのときは、満員になるんですよ。そういう麻雀自体も魅力的で、この人だからついていきたいって思えるような選手になれたらいいなと思います」
「この前リーグ戦で瀬戸熊さんがいらっしゃっていて、そのときわざわざ私の方まで『伊達、おめでとう』って言ってくださったんです。プロになる前から瀬戸熊さんのファンだったので、感無量でした」
──より多くの方に応援される選手になられることをお祈りしております!最後にファンの皆様に一言おねがいします
「まだまだ麻雀プロとしては歴が浅いですが、たくさん勉強して、見てくださる皆さんに、魅力的だな、いい麻雀を打つなって思ってもらえるように頑張りますので、Mリーグ、KONAMI麻雀格闘倶楽部の応援をよろしくお願いします!」
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