麻雀ウォッチ

日本最大級の麻雀専門ニュースサイト!プロ雀士やイベントの情報をはじめ動画やマンガ・アニメ、アーケードゲーム情報まで麻雀関連の事柄全てを網羅します

CABOクィーンカップ
二階堂亜樹「麻雀プロ人生に光を灯してくれた二人の恩師」 Mリーガー列伝(12)

二階堂亜樹「麻雀プロ人生に光を灯してくれた二人の恩師」 Mリーガー列伝(12)

CABO求人麻雀BarWatch

 “女流プロ”という存在を世に浸透させたのは、二階堂亜樹プロに他ならない。1999年、麻雀プロ界に当時最年少18歳で飛び込み、2000年以降は姉の二階堂瑠美プロと共に姉妹プロとしても世間から注目された。その活躍する姿に憧れ、プロ入りした女流プロも数多い。

 デビューから20年以上、第一線を歩み続ける亜樹プロには“二人の恩師”の存在があった。

運命に導かれるように出会った師

 亜樹プロが麻雀と出会ったのは、3歳の頃にさかのぼる。自宅で両親が親戚と掘りこたつで麻雀をやっていた時、父親の膝の上に座って「これが来ればいいんでしょ?」と話していた記憶がうっすらあるという。

 その後、両親が雀荘経営を始めたことで麻雀はより身近な存在となり、中学生となった12歳の頃、麻雀牌に初めて触れた。「麻雀牌を持っていた友達の家に行って、その子のお父さんと、麻雀が出来る女の子の友達3人で手積みでやっていましたね」

 亜樹プロの人生は映画化されるほど波乱万丈だ。7歳の時に両親が離婚。一緒に住んでいた父親は放任主義だったこともあり、神奈川県内の中学校を卒業をした翌日、自分の居場所を求めて東京に出た。「麻雀店で働いていた時、麻雀プロという存在を初めて知りました」と麻雀店を転々とするうちに、運命に導かれるように安藤満プロ(享年55)の麻雀店に行き着いた。

 亜樹プロにとって安藤プロとは、日本プロ麻雀連盟の最高峰タイトルである鳳凰位をはじめ、数多くのタイトルを手中に収めていた雲の上のような存在だった。「私が初めて見たプロが安藤さんでした。第一印象はやわらかい感じの人。スタッフとみんなで食事に行くと、話している内容や姿も本当に普通の人。もちろん麻雀を打っているときはビシッとしていて、実績もあるすごい人なのに、偉そうな素振りもまったくない、親戚のおじさんみたいな感覚でした」

亜樹プロにとって対局は「人間力が試されている場」。今日より明日、変化ではなく進化を追い求め、最善の一打を模索する

プロ入りから20年以上の時を経て、わかりかけていること

 「筋がいい」と褒めてくれた安藤プロに対して、自分の気持ちを言葉にした。「私、プロになりたいんですけど」と言ったら、「必ずなれるよ、大丈夫」と背中を押してくれたという。その日から、自分のわからないことや疑問に思うこと等、なんでも安藤プロに聞くようになった。

 安藤プロの代名詞といえば“亜空間殺法”だ。「亜空間殺法ってなんですか?って100回ぐらいは聞いたと思うんですけど(笑)。アガリに向かわない鳴きで、ついていない人がアガリに向かう鳴きをすると、ついている人にとっては有利に働くように麻雀はできている。だからその逆を行ってアガリに向かわない鳴きをして流れを変えるようにするんだよと教えてくれたんです」

 当時は‟流れ”と言われても理解できず「そうなんですか」と受けとめることしかできなかった。しかしプロ入りから20年以上経った今、当時安藤プロが探求していた「技術の先にあるものの存在」を認識できるようになってきた。「実際いろんな人の対局映像を見ていると、展開が向くような瞬間を感じられるようになってきたんです。安藤さんの話を聞いていなかったら、対局をそういった意識で見られていなかったですね」と今の自分の麻雀にも活かされている実感がある。

「素直であること」「我慢強くあること」「過去の成功を捨てること」を肝に銘じ、第一線を歩み続けている

「プロとはなんぞや」を教えてくれた師

 そしてもう一人、麻雀プロ人生に光を灯してくれた師がいる。“ミスター麻雀”と愛され、魅せる麻雀で多くのファンを惹きつけた小島武夫プロ(享年82)だ。

 「そもそも強い人と麻雀を打ってみたいという一心だったので、確固たる信念があったわけではなかったんです。だからプロとはこうあるべきという本質を見失っていたというか、わかっていなかったなと思うんです」

 そんな折、KONAMI麻雀格闘倶楽部のイベントで、小島プロと瑠美プロと共に全国のゲームセンターを回った。「プロとして何を為すのかとか、ファンに対してどう振る舞うのかといったプロとしてのあるべき姿に関してお話をしてくださって。自分の中で全然見えていなかったもの、ぼんやりとしたイメージでしかなかったものを、はっきりさせてくれたんです」と感銘を受け、プロの麻雀とはどうあるべきかを考えはじめた。「アマチュアの方に同じように打てると思われるのではなく、やっぱりプロってさすがだなと思われるような麻雀を打ちなさい」と言われ、自分の中に意識改革が起きた。

 ミスター麻雀からは「自分ひとりだけで打っているんじゃないんだよ」ということを教わり、今でも心から感謝している。

麻雀を続けてきたことで、自分が変わったこと

 麻雀を通じて気が長くなったとも感じている。「幼少期からすっごい短気で、それこそ小中学校の頃はすぐ怒るから、短気!短気!とお姉ちゃんから言われていました。でも麻雀って、こらえなきゃいけない時間が相当長いので、我慢することや耐えなきゃいけないことをずっと繰り返してきた中で、自然に怒らなくなりました。それは麻雀だけに言えることではなく、プライベートでも嫌なこと、辛いこと、苦しいこと等があったとしても、飲み込めるようになれた気がします」と対局は自身の“人間力が試されている場”だと思っている。

4歳の頃からゲームソフトの麻雀に夢中だった。「役もわからず、パズルゲーム感覚でテンパイしたらリーチだけを繰り返していましたね」

 Mリーグでは初年度にチーム準優勝を収めたが、2019シーズンはレギュラーシーズン最下位と苦い思いも味わった。「負けたらどうしようと思っている事自体が意味がないという気持ちで(2020シーズンは)開き直ってやっています。たとえ負けている時でも、自分の麻雀を大事にしたい。行かなければいけない時に、行けなくなるのがダメなので、そういう部分は精神修業が必要かなとは思っています」

 卓上の舞姫は、二人の師から学んだ教えを胸に、さらなるステージへ舞い上がろうとしている。 

二階堂亜樹(にかいどう・あき)プロフィール

生年月日:1981年11月15日
出身地:神奈川県鎌倉市
血液型:O型
趣味:ドライブ、漫画、買い物
好きな漫画:「テラフォーマーズ」「キングダム」「ワールドトリガー」「ベルセルク」「亜人」他
勝負めし:肉と米
主な獲得タイトル:第3期プロクイーン、第2・3期女流桜花、第14回女流モンド杯、麻雀最強戦2020 最強「M」トーナメント他多数
キャッチフレーズ:卓上の舞姫
著書:「二階堂亜樹の勝てる麻雀の基本」(マイナビ出版)、「明日は、今日より強くなる 女流プロ雀士 二階堂姉妹の流儀」(KADOKAWA)他多数

二階堂亜樹 年表
年齢 主な出来事
1981 0歳 神奈川県で二人姉妹の妹として生まれる
1993 12歳 中学生時代は卓球部、演劇部等を掛け持ちする
1997 16歳 東京に出る。その後安藤満プロと出会う
1999 18歳 日本プロ麻雀連盟15期生としてプロ入り。小島武夫プロと出会う
2000 19歳 姉の瑠美プロが日本プロ麻雀連盟16期生となる。MONDO TV番組「電影大王位決定戦」に、当時最年少女流プロとしてTV対局デビューを果たす
2005 24歳 第3期プロクイーン決定戦 優勝
2006 25歳 モンド21王座決定戦 優勝
2007 26歳 第2期女流桜花 優勝
2008 27歳 第3期女流桜花 優勝
2011 30歳 自伝漫画『aki』が近代麻雀オリジナルで連載開始
2014 33歳 麻雀最強戦女流プロ代表決定戦 優勝
2016 35歳 第14回女流モンド杯 優勝
2017 36歳 映画「女流闘牌伝 aki アキ」公開
2018 37歳 EX風林火山からドラフト1位指名を受ける
  37歳 Mリーグ2018準優勝
2020 39歳 麻雀最強戦2020 最強「M」トーナメント 優勝

 

◎写真:佐田静香(麻雀ウォッチ) 、インタビュー構成:福山純生(雀聖アワー)

 

新着記事

Return Top