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究極の自然体、茅森早香を育んできた言葉  Mリーガー列伝(26)

究極の自然体、茅森早香を育んできた言葉  Mリーガー列伝(26)

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「へこんだりすることもない。何かあっても寝てしまえば忘れられる」と小さい頃からポジティブだったMリーグ初代打点王の茅森早香プロを、さらに成長させた言葉とは?

北の大地で育まれたおおらかな感性

 3人兄弟の長女として、北の大地で育った茅森プロは、幼少期からおおらかだった。「小学生4年の時、親友が一緒に入ろうよというので、バレーボール部だと思って行ったら、バスケットボール部だったんですよね」と意に介することもなく、すぐに入部した。「始めるとずっと続けるタイプなので、高校卒業までやってましたね」とバスケットボール部ではキャプテンも務めた。

風の吹くまま、本能で生きる

 「美容師になりたかったんです」と中学を卒業したら美容師の学校に行くつもりだった。しかし卒業前年に美容学校の制度が変更され、高校卒業資格が必要となった。「それで仕方なく高校行こうかと。でも2年で辞めて、美容師ではなくヘアメイクにしよう」とヘアメイクの専門学校に通うために上京した。

 「とりあえずアルバイトを探していたら、たまたま麻雀店でウェイトレス募集と書いてあったんで、行ってみたという感じでしたね」と面白そうだなと思えば、その本能に従った。

 ウェイトレスとして採用されたその店には、女流プロが多く在籍していた。麻雀に関しては、中学生の時に友達から並べ方を教えてもらった程度だったため、店で麻雀を教えてもらい、すぐにお客さんと打つようになった。「麻雀がどんどん面白くなっていって、アルバイトにも毎日入るようになりました。払った入学金も戻って来たんで」とヘアメイクの学校には一度も行かなかった。

 入店から2カ月後、緑一色をアガった。「発・ホンイツだと思ったんで、ロン3900点と点数申告したら、そのお客さんがすごいびっくりして。えっ何?って聞いたら、それ緑一色、役満だよって言われて。あっそうなんだみたいな感じでした」とこの日以来、今日まで緑一色は一度もアガっていないそうだ。

ライバルは二階堂亜樹プロ(EX風林火山)と即答するが「可愛いし、麻雀も強いし、しゃべりもうまいし、やさしいし」とむしろ敬愛している©ABEMA

「普段よりなるべく笑顔になろうと思ってました」

 2001年、店長からの勧めもあり、19歳で最高位戦日本プロ麻雀協会にプロ入りした。

 プロ入り後、心がけていたことがひとつだけあった。「麻雀中にしゃべるのが苦手で、無表情で打っていることが多かったんです。だからゲストで呼ばれて話しかけられたり、点棒のやり取りをする時は、普段よりなるべく笑顔になろうと思ってました」とはにかんだ。 

 2004年、初めてのメディア対局となったMONDO TV「新鋭モンド21杯」で準優勝し「第2回女流モンド21杯」への出場権利を得ると、その才能はすぐに開花し、初出場で初優勝を決めた。

 メディア対局だからといって特別な意識はなかったが、対局前に初めてヘアメイクをしてもらったことはよく覚えている。「自分もメイクさんになったらこういう感じだったのかな。道具も多く、待ち時間も長そうなので大変だろうな」と感慨深いものがあった。

 以来「ヘアメイクはお互いにパッと終わったほうがいい」と、対局番組に出演する時には、どこのスタジオに行っても毎回同じ髪型をオーダーするようにしている。「同じことをお願いしてもメイクさんによって、それぞれ仕上がりが異なるんですよね」と自分がなっていたかもしれない世界を客観的に楽しんで見ている。

子育てしながらMリーグに参戦

 2018年1月、切迫早産で早産になるリスクがあったため入院した。「本当は3カ月入院する予定だったんですが、早く生まれてきたので1カ月で退院しました。病院では24時間点滴でずっと寝ていなければいけなかったんで、全く動けなかったんです」と気分転換は麻雀対局番組やドラマを見ることだった。「ご飯も寝ながら食べなきゃいけなかったんで、あの時はキツかったですね」と苦難を乗り越え、元気な男の子を無事出産した。

 Mリーグに参戦する時には、近くに住む両親が愛息の面倒を見てくれている。「息子に麻雀をやらせたいというのはないんですけど、やりたいと言えば、家には麻雀卓もドンジャラもあるので、ドンジャラからでもいいのかな」と優しく見守っている。

美容師に憧れていた幼少期は、兄の髪の毛で練習したこともあった。「今は息子の髪の毛を切っています」

生活環境を活かし、YouTuberとしても活躍

 こうした環境もあり「家で何か出来ないかな」と考え、2019年9月から気心の知れたプロ仲間とYouTube番組「さやチャンネルω」を開設した。「自分たちが楽しいことをやりたくて、いつもの飲み会をみんなに見てもらっているような感覚ですね」と大好きなハイボールを飲みながら、新しい試みにもチャレンジしている。

「さやチャンネルω」は茅森プロと同じ最高位戦日本プロ麻雀協会に所属する根本佳織プロ、植村里菜プロ、浅見真紀プロと共に、ゆる〜く展開している©さやチャンネルω

チームメイトへの思い

 セガサミーフェニックスはMリーグ初年度こそレギュラーシーズンで敗退したが、Mリーグ2019シーズンでは準優勝と躍進した。チームは魚谷侑未プロ、近藤誠一プロ、和久津晶プロという個性的なメンバーが顔を揃える。「ゆーみんは自由奔放な人。近藤さんはなんでしょう、頼りになる人? 晶さんはムードメーカー的な感じ。私はいつでもなんでも大丈夫だよという感じ。みんな忙しいので日程調整が厳しいんですが、私は融通が利くので」とチーム内ではバランサーとしての役割役割も担っている。

麻雀を通じて成長できたこと

 麻雀を続けて来たことで磨かれたことがある。「麻雀は我慢の時間のほうが多いので、精神面は鍛えられましたね」と思い通りにいかないことが当たり前と受けとめている。

 だからこそ麻雀ファンに対して、そして自分自身に対して「色紙に何か言葉を書きたいなと考えていて、私自身ぱっと見は冷静に打っているっぽいし、麻雀は冷静に打った方がいいですよということを伝えられたらいいな」とプロデビュー当時から「冷静に打つ」と書き続けている。

 風がいざなえば身をゆだね、逆風となれば抗わない。自己感情をも冷静に客観視することで、究極の自然体でいられるのだ。

茅森早香(かやもり・さやか)プロフィール

生年月日:1982年5月4日 
出身地:北海道苫小牧市
血液型:B型
キャッチフレーズ:天才すぎるオンナ雀士
勝負めし:とくにないけど海老そば「一幻」は大好き
主な獲得タイトル:第11期女流最高位、第2・13回女流モンド杯、女流プロ麻雀日本シリーズ2019

茅森早香 年表
主な出来事
1982 1歳 北海道苫小牧市で3人兄弟の長女として生まれる
1991 9歳

ミニバスケットボール部でキャプテンを務める

2000 18歳 ヘアメイクの専門学校に通うために上京後、麻雀店で働き始める
2001 19歳 最高位戦日本プロ麻雀協会プロ入り
2004 21歳 第2回女流モンド21杯
2011 29歳 第11期女流最高位
2012 30歳 麻雀最強戦2012女流プロ代表決定戦
2016 34歳 第13回女流モンド杯、麻雀最強戦2016女流プロ代表決定戦 激突!
2017 35歳 結婚
2018 36歳 男の子を出産。セガサミーフェニックスよりドラフト3位指名を受け、Mリーグ初代平均打点王となる
2019 37歳 Mリーグ2019朝日新聞セミファイナル&ファイナル準優勝。YouTubeチャンネル「さやチャンネルω」開設

 

◎写真:佐田静香(麻雀ウォッチ) 、インタビュー構成:福山純生(雀聖アワー)

 

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