「ネットとリアルを結ぶ」。言うは易く行うは難し。その架け橋となるビアバル『ジャンナビア』が東京都・新橋にオープンした。店舗経営を行なっているのは、株式会社ウインライト。会員数400万人を誇る『オンライン麻雀ゲーム ジャンナビ』を運営する会社だ。「オンライン麻雀×リアル麻雀×飲食」。この新しい業態に込めた想いとは。
1972年、愛媛県生まれ。株式会社ウインライト代表取締役社長。『オンライン麻雀ゲーム ジャンナビ』をはじめ、オンライン3DRPG、女性向けソーシャルゲーム等、様々なコンテンツを創造している企業。好きな手役は大三元。「ひとつ鳴いておいて早いアガリかと思わせておいて実は大三元というのが理想。めったにアガれませんけどね(笑)」
〝オンライン麻雀×リアル麻雀×飲食〟なぜ今、新しい業態に挑んだのか?
「女性、初心者、そして若い人が、気楽に麻雀を楽しめる空間を作りたかった」
はにかんで話すのは、株式会社ウインライト代表取締役社長 藤本勝寛氏。
怖い、徹夜、タバコ臭い、ルールや用語がわかりずらい等々。リアル麻雀をやったことの無い多くの女性や初心者は、こういった先入観を抱き、麻雀店に入りづらいと感じているのは事実。藤本さん自身がまさにそうだったと言う。
「私が初めて麻雀をやったのは、社会人になった20代の頃。東風荘がきっかけでした」
東風荘とは、麻雀のオンラインゲームのこと。
「仕事が終わったら東風荘で麻雀対局という生活でした。それからもずっと麻雀との関わり方はゲームのみ。実は初めてリアル麻雀を経験したのは、ここ2、3年前からなんです」
「私自身、1人で麻雀店に行って知らない人と麻雀を打つのは、非常にハードルが高かったんです。1人で麻雀店に行くと考えただけで正直ビビってしまい、行く前から絶対無理といった感じ。セットだったらまだ行ってみようと思えるのですが、そうすると仲間を4人集めなければならない。以前は簡単に集まったとはよく聞くのですが、仮に4人仲間が集まったとしても、その前には練習を積んでおきたい(笑)。そんな私でも気楽に入れるお店があったらなという〝妄想〟をずっと抱いていたんです」
もうひとつ。妄想を現実へと後押しする要因があったという。
「ユーザーさんからの声が数多くあったことは、私の背中を後押ししてくれました。麻雀は元々リアルなゲームとして始まった経緯があるわけで、そこから発展したのがネット麻雀。では私を含め、ネット麻雀をやっている人たちは、なんのためにゲームをやっているのだろうと考えた先にあったのが、最終的にはリアル麻雀を打てるようになりたいという声だったんです。リアルで打てるようになれたら、人生がより楽しくなる。4人でひとつの卓を囲む。少子化が進んでいる昨今、コミュニケーション機会も減って来ているのが現状。だから健康マージャンを楽しまれている団塊の世代を見ていると、麻雀っていいなと改めて感じるところがあるんです。要はゲームもリアルも両方楽しみたいという声ですね」
ユーザーの麻雀を覚えたい理由の多くは以下の3点。
・家族と一緒に楽しみたい
・彼氏と一緒にやれるようになりたい
・麻雀プロとなって、生計を立てたい
「家族も彼氏も要はリアルで打ちたいということに繋がっている。また麻雀プロになりたいという声は、プロ野球選手に憧れる野球少年同様、職業として目指せる業界にしていかなければならないと肌で感じています。だからジャンナビでは、麻雀プロがプロ活動できる場を構築しています。それはユーザーに対する還元にも繋がっています」
ジャンナビアがとくにこだわっているところは?
「とにかく女性と若い人が入りやすいと感じられる様な店舗内装を心がけました。我々ゲーム会社が麻雀店を経営するのは、既存の麻雀店との競合ではなく、ネット麻雀に集まってくれたお客さんがリアル麻雀へスムーズに入れるための導線となることが一番の理由。だから麻雀店のようにどっしりとしたイスに座って、とことん麻雀を打つのではなく、気が向いたときにいつでも打てるようにシンプルなハイチェアを導入しました。ルールもジャンナビルールと一緒。もちろん料理や飲み物にもこだわっています。だから彼氏が彼女を連れて来て、食事をするだけという使い方も大歓迎なんです」
麻雀卓も圧迫感の無い木目調のものに特別加工されている。椅子や卓の足も黒に統一され、新しい価値観の提示となっている。
「多種多様な飲食店を研究した結果、最初はバーもいいかなと思っていたのですが、女性ユーザーや社内女性の意見を取り入れていったらイタリアンになっていった。人気店に分類されるイタリアンの客層は8割が女性。ジャンナビアでは現在3割が女性。麻雀店で3割女性なら上々のスタートなのかなと」
雇用体系は?
「現在はジャンナビアとウインライトの正社員の2種類があります。ジャンナビアの正社員採用基準はお店を任せられる人。基本的には接客業ですが、アルバイトからでも本人が希望すれば昇級試験があり、正社員になれるチャンスがあります。ですから麻雀が好きな人はもちろん、麻雀プロの雇用も視野に入れています。ウインライトの社員はネット関連のありとあらゆることに従事して頂きます」
「ちなみにジャンナビアの就業時間は1日8時間。休みは月に8日。福利厚生、交通費、賄い等、勤務体系は整備してあります。お店の位置づけとしては、飲食を通してお客さんにジャンナビを知ってもらう広報活動の一環。ユーザーの増加に繋がり、麻雀プロを知ってもらい、そして麻雀業界全体が盛り上がるための起爆剤になればと思っています」
好きなことを仕事にするためには?
「やり続ける、言い続ける、発信し続ける」
好きな言葉は?
「妄想。目標も夢も、あらゆる行動の源は妄想から始まります。しかも妄想するのは自由。その妄想を具体化していく作業が、ビジョンになっていくと思います」
藤本さんにとって麻雀とは?
「使命であり、目標でもある。ネットとリアルの接点が無いのは、本当にもったいない。やっている自分でさえ、実際7年間、リアルへ移行出来なかった。今となっては10年以上、麻雀ゲームに関わってきて、やらなくてはならないという使命がある。これまでに蓄積して来たものを大きくしたいという目標でもある。もちろん自分自身が好きだからやっているのですが、責任が大きいことも感じています」
インタビューを終えて
ジャンナビアでは毎月1回、土曜日に大会を行い、優勝者はプロと対決する挑戦権が得られ、その模様はニコニコ生放送で放映されるという。今後はジャンナビアと同じ業態の店舗を増やすことを目標としている藤本さん。「オンライン麻雀×リアル麻雀×飲食」の輪が広がる日は近いと感じた。
文責:福山純生(雀聖アワー) 撮影:河下太郎(麻雀ウオッチ編集部)
◎Jannabeer(ジャンナビア)
〒105-0004 東京都港区新橋4-25-4石田ビル1F
JR新橋駅烏森口徒歩4分
営業:17:00~23:30(LO22:30)
定休:土日、年末年始
麻雀を無料で楽しめるビアバル。食事はシェフ自慢のラムチョップをはじめとする本格的な肉・野菜料理全33種。飲み物は厳選されたクラフトビール、ワイン、カクテル、ハイボール等40種以上。全席禁煙。雀ナビのプレミアム会員証を提示すると割引価格あり。
オフィシャルサイト
http://www.jannabeer.co.jp/
Facebookページ
https://www.facebook.com/jannabeershimbashi
『オンライン麻雀ゲーム ジャンナビ』とは?
パソコン、携帯、スマートフォンでも遊べる麻雀無料オンラインゲーム。初心者から上級者まで、いつでもどこでも全国のプレイヤーと対局可能。毎週イベントも開催され、5団体・総勢70名以上のプロ雀士と実際に打つことも出来る。
オフィシャルサイト http://www.jannavi.net/
マージャンで生きる人たち back number
- 第1回 株式会社ウインライト 代表取締役社長 藤本勝寛
あらゆる挑戦は、すべて〝妄想〟から始まる - 第2回 株式会社F・R・C代表取締役 香宗我部真
<作業>が<仕事>に変わった先にあるもの - 第3回 ターナージャパン株式会社 制作部 プロデューサー 上島大右
好きなことを仕事にしようと考えるより、自分の仕事を好きになる努力するほうがいい - 第4回 フリーアナウンサー 土屋和彦
しゃべるのが仕事。しゃべることを取材することも仕事 - 第5回 株式会社セガ・インタラクティブ セガNET麻雀MJディレクター 高畑大輔
「マージャンのおかげでキレなくなりました(笑)」 - 第6回 RTD株式会社 代表取締役 張敏賢
「目指すは、新しいマージャン文化の創造」 - 第7回 漫画家 片山まさゆき
「盆面〈ぼんづら〉がいい人生。仕事も麻雀も。そうありたい」 - 第8回 株式会社アルバン 専務取締役 船越千幸
「奪い合うのではなく、増えるきっかけを生み出す」 - 第9回 健康麻将ガラパゴス創業者 田島智裕
「参加者に喜ばれ、なおかつ社会的意義のあることをやり続けたい」 - 第10回 株式会社日本アミューズメントサービス代表 高橋常幸
「希望が持てる業界を構築し、麻雀で社会を変えたい」 - 第11回 《More》プロデューサー 菊池伸城
「躊躇なく一気にやることで、世界は開ける」 - 第12回 麻雀キャスター 小林未沙
「想像力をどれだけ膨らませられるかが勝負です」 - 第13回 麻雀評論家 梶本琢程
「面白かったら続けたらいい。うまくいかなかったら次を考えたらいい」 - 第14回 麻雀AI開発者 水上直紀
「常識を疑い、固定概念を崩したい。強くなるために」 - 第15回 麻雀観戦記者 鈴木聡一郎
「ニュースがライバル。そう思って書いてます」 - 第16回 株式会社サイバーエージェント AbemaTVカンパニー編成部プロデューサー 塚本泰隆
「決断したことに後悔はしない。麻雀から学んだ思考です」 - 第17回 劇画原作者 来賀友志
「麻雀劇画の基本は〝負けの美学〟だと思っています」 - 第18回 株式会社シグナルトーク代表取締役 栢孝文
「始める、続ける、大きく育てる。愛する麻雀の“弱点”を補うために」 - 第19回 フリーライター 福地誠
「まだ本になったことがない新テーマの本を作りたい」 - 第20回 声優 小山剛志
「もがき、あがき、考える日々。一体いつまで続けられるのか」 - 第21回 映画監督 小沼雄一
「大変だけど、やってみる」 - 第22回 麻雀企画集団 バビロン総帥 馬場裕一
「プロは『人が喜ぶ』」 - 第23回 点牌教室ボランティア 松下満百美
「やってあげてるという意識は無いほうがいい」 - 第24回 フリーアナウンサー 松本圭世
「高校野球中継のスタンド取材が今に生きています」 - 第25回 子供麻雀教室講師 山本健
「好きな言葉は、テンパイ即リー、数打ちゃ当たる!」