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ネマタの戦術本レビュー第6回「スーパーデジタル麻雀 著:小林剛 その6」

ネマタの戦術本レビュー第6回「スーパーデジタル麻雀 著:小林剛 その6」

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第一章 手順

(8)この手牌から何を切るか、優劣を比較するなら明確に打が最善です。そのためか、打以外有り得ないのに、何故この問題をわざわざ取り上げているのか疑問に思われた方もいたようです。

 しかし、123445ならリャンメントイツとして認識できても、223445だとリャンメントイツと認識できない方が一定数いることは確かです。これは、123445なら123+445のように面子+リャンメントイツの形に分けられますが、223445だと234を抜いても345を抜いても、残った形がリャンメントイツにならないためであると思われます。

 第3回、手順(5)で申しました、リャンメンカンチャンが見落とされやすい理由と同じです。23445のような順子+2枚からなる面子候補に1枚加わって、順子+3枚からなる面子候補になっているとみなすと、223445も、122345もリャンメントイツの一種であることが分かります。

 意識せずとも223445を一つの形として認識できている人は全く迷わないけれど、面子と面子候補を分けて考えようとした人には難しいという問題でした。「認識力を上げて、その場に応じて適切な判断ができるようにする。」判断のために必要な知識を身につけるだけでなく、認識力を上げていくことが大切です。

(9)面子や面子候補ができるツモを逃すと、失敗したと思ってツモ切ってしまうというのは非常によくありがち。むしろ、一度切った牌と同じ牌を手牌に残すというのは、意識していなければなかなかできないことです。

 何故ツモ切りしがちなのか、理由は二つほど挙げられます。一つは、人は無意識のうちに、打牌を比較する際に過去の出来事を考慮してしまうためです。「一度不要と思って切った牌を残すのは一貫性が無い」という考えですね。更に言えば、過去の出来事が将来の偶然にまで影響するという「流れ論」にムズ結びつく場合もあります。

 確かに、過去の出来事を考慮せずいつも場当たり的な選択を取ってしまう人よりは、目的意識を持って一貫した方針で打てている人の方が、実力者である可能性は高いです。しかし、何を切るべきかは、あくまで今ここでの判断。打牌比較をする際は、局面を線ではなく、点として捉えるべきなのです。

 もう一つは、フリテンになる可能性が必要以上にデメリットとしてみなされがちであるためです(を切ったというのは過去の出来事ですが、を切ったのでフリテンになる可能性があるというのは、あくまで今の話です。)。一度切ったを残してを引いてフリテンになってもツモ切るだけなので、単なるムダヅモより悪いということはありません。むしろソーズ待ちになった時に盲点になり出アガリやすくなるので、後の章で出てくる小林プロの言葉を借りれば、「最良のムダヅモ」とも言えます。

 過去の出来事にとらわれず、今ここでの判断であることを意識すること。ムダヅモやイマイチなツモより、よりよいツモを優先的に考慮して打牌比較をすること。日頃から言い聞かせているつもりでも、私自身も出来てないことが多いと痛感させられることが度々あります。実力向上を志す全ての打ち手が押さえておくべき心得ではないでしょうか。

本記事に関するご紹介

スーパーデジタル麻雀
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著者名:小林剛
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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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