- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
PART5 点数状況判断
3 変わる押し引き変わらない押し引き
現物待ちのテンパイでも、良形かつダマ出アガリ30符3翻以下の手は基本的にリーチ有利となります。最も加点効率のよい平和ドラ1テンパイならなおのことリーチを打つべきことが多いでしょう。
しかし、点数状況、アガられると都合の悪い他家からのリーチとなれば、アガリを阻止するためにアガリ率重視のダマも候補に上がります。本書の結論が、「ダマ有利」ではなく、「ダマもあり」としているのは、現物待ちダマのアガリ率が局面によって変動しやすいためでしょう。
例えばそれまでリーチに押し気味に打っていた他家が一転してリーチの現物を手出し、既にと切っているとなれば、はトイツ落としであった公算が高いので、その直後に待ちでテンパイが入ればダマなら高確率で出アガリできることが期待されます。これなら加点のメリットが大きい局面であってもダマにすることもありそうです。
役無しテンパイの場合は、追っかけリーチを打った方が先行リーチ者のアガリを阻止できる可能性が高いので、今度はアガられると都合の悪い他家に対してほどリーチ寄り。アガられても問題無いが高打点放銃の下振れを避けたい時ほどダマ寄りとなります。役有りの場合とダマに受ける意図が逆になるので混同しないように注意したいですね。
4 変わる手組変わらない手組
先手を取れた時のリーチ判断がさほど変わらないことに加え、満貫までは比較的作りやすいうえに打点を上げる効率が高く、跳満以上となると途端に作りづらいうえに打点を上げる効率が悪くなることも、大まかな手組については点数状況によってそれほど変わらない理由です。
しかし、浮いたヤオチュウ牌の切り順、残す価値がさほど高く無い数牌と安牌になりやすい字牌の比較といった、フラットな局面でもどちらを選んでも大差ない選択も多々あります。こういった細かな手組については点数状況が打牌判断を決定する要因となりやすいです。細かいところまでシステム化しようとすると点数状況に対応しづらくなるので、本書に記載されている手組を変える理由を踏まえたうえで、実戦ではその都度判断されることをお勧めします。
個人的には手牌Aで西家の立場であれば、にくっついても先手を取りづらいならクイタンで仕掛けづらく、先手が取れそうなら役無しでリーチを打つのを嫌うほどの点数状況でもないとみて打。手牌Cは巡目が早く、先にツモはのみ手カンリーチより手狭とはいえ満貫手の受けが豊富に残る1シャンテンの方がよいとみてフラットな局面でも打としそうでした。
鬼打ち天鳳位の麻雀メカニズム
「麻雀は考えるのが大事とよく言われます。では実戦でどうすればより良い思考ができるでしょうか。答えは単純で、『考えられた結果を手が勝手に出力する』ようにすること
です」(まえがきより)
麻雀とは人間の処理能力を超えた情報量を与えられ、限られた時間でそこから最適解に近いものをいかに導き出すか、というゲームであると言えます。
その際に役に立つのが「システム」です。状況をある程度パターン化し、抽象化することで個々の事象に対して、最善の選択をする可能性を上げることができます。
本書があなたに提供するのは最高レベルのシステムです。驚異的な打荘数で知られる「鬼打ち天鳳位」ことお知らせ氏が生み出し、磨き上げられた55のシステムとその詳細な解説が本書に書かれています。