最近放送対局ではすっかりヒールのイメージが定着した斎藤プロが、今最も旬な雀士を紹介していくこのコーナー。第4回は第15回日本オープンを獲得した渋川難波プロです。
――第15回日本オープン優勝おめでとー(棒)
渋川:ありがとうございま・・・って何か棒読み過ぎません!?今までのインタビュー記事だともっと祝福ムードだったのに!(笑)
――ん?気のせいじゃない??(笑)さてさて冗談は置いといて、本当におめでとさん。2つ目のビッグタイトルですね。
渋川:改めてありがとうございます。入会2年目の時に11期雀竜位を戴冠して以来になります。プロの公式タイトルとはまた別枠ですが、大きいものだと「第13回 野口恭一郎賞」も取っています。竹書房創業者が由来になっている賞で麻雀最強戦やモンド杯に出場する権利を得られるやつですね。
――過去には鈴木たろう、金太賢、愛内よしえなどが受賞してますよね。渋てむ(渋川プロの愛称)が日本オープン獲ったとなると、差をグッと広げられた感じがしちゃうね。協会員で日本オープンを獲ったのは3人目だ。
渋川:いやぁ・・・ほんと予選から決勝に行くまで、奇跡的というか、薄氷を踏みながらの戦いが続きましたからね。日本オープンは協会ルールでの大会形式(大人数で規定回数打ち、全体の上位が勝ち抜ける方式)という事もあるんですが。
――我々の団体にはオカがあり、トップが非常に偉いルールだからね。
渋川:なんかでもイけそうな気がしていたんだよな~。予選の通過具合的に。
――我々は毎回毎回いける気がしてるでしょ(笑)優勝前提の参加というか。でもそんなに具合良かったんだ?
渋川:まぁ勿論優勝が前提で参加してるけどさ(笑)最初のプロ予選からまじでつらくて。最終戦二着で通過条件でオーラスを迎えて、自分が微差トップ目、下家がソーズ3フーロでここにマンガンは打てない。まぁソーズを止めてペタペタ降りていたんです。
――ドラが関係ないからソーズで打たなければマンガンではないという仕掛けだね。
渋川:そしてここが重要で、親が7巡目くらいにメンホン張ってるんじゃないかと疑えたんです。自分の手の中にって持ってて下家に対して安全ですごく切りたいけど、親がダマテンだったらメッチャ危ないと!ずーっと止め続けてたんです。数順後2着目がリーチしてきたら、親がツモ切り追いかけリーチ。2着目があがって自分的に平和に終わって通過となりました。親の手聞いたら
とか言う手だったんですよ。普通は切っちゃいそうなところをビタッと止められたから、あれ、これイけるんじゃないかって思い始めたんです。あれ打ってたらもう僕の日本オープンは予選で終了していた。雰囲気で止められました。
――世の中の人って、渋てむを「デジタル麻雀打ち」として評価をしていると思うんだけど、実際ってそういったアナログな要素を結構入れる人だよね。もちろん麻雀のベースとして「理」ってのは当たり前だけどあるのは知っているし、それが人一倍出来るのも分かる。「理」にアナログ要素を上乗せするというか。世の人が思う渋川難波というイデアとのギャップはあると思う。
※イデア・・・見えたものではなく、「思い描いた理想像」のこと。プラトン哲学の中心概念。
渋川:急にイデアとか言い出す斎藤さんも放送対局とかのキャラクターとのギャップがあるよなぁ(笑)ま、それは置いといて、トップ条件のラス目の親が、ソーズ、マンズを早々と切っていて、が最後出てきた。そして初牌のドラのを”スパンっ”とツモ切ってきた。
渋川:絶対に降りられないから切るんだろうけど、その”スパンっ”具合が気になって気になって。それで疑惑が沸いてきたんです。これ本手が入ってないか!?って。ベタオリで安パイなくなったら手の内のピンズは止めてむしろ字牌切ろうかと思っていた。それくらいピンズも止めていました。あのを打ってたら終了でしたよ。
――アナログ要素って大事よね。
渋川:次の本戦では最終半荘、トップ条件で2着目、オーラス自分最後のツモも終わって、日本オープンの”サライ”が心の中で流れたけど、海底でのオリウチにより和了できてトップ!本当に奇跡的なトップでしたよ。
――な~るほど!決勝行ったのは実力というよりは偶然の産物(^^)φメモメモ・・・と。
渋川:え!?なんか言いました?どう見たって偶然じゃなくて実力でしょう!!ちゃんと僕のありがたい話はメモしましたか?ちゃんとメモしないから斎藤さん去年雀王リーグ降級しちゃうんですよ(笑)
――ぐぐっ・・・減らず口を(#゚Д゚)
―後半に続く―
渋川 難波(@sibukawarou)
ネット麻雀『天鳳』十段の名をひっさげてプロ入り。デビュー2年目で二大タイトルの一つ『雀竜位』を獲得。『魔神の〜』シリーズでの著作多数。