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東1局を制する者は勝負を制す!熟練たちのグループDは、条件の押しつけ合いに・・・【シンデレラファイト シーズン2 GroupD Day7 担当記者・中島由矩】

東1局を制する者は勝負を制す!熟練たちのグループDは、条件の押しつけ合いに・・・【シンデレラファイト シーズン2 GroupD Day7 担当記者・中島由矩】

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麻雀は、南4局が終わった時点で1番多くの点棒を集めた選手が勝ちになるテーブルゲームで、「ラス即脱落」を標榜するこのシンデレラファイトにおいては、南4局が終わった時点で1番点棒の少ないシンデレラが負けということになっている。

 

 

また、このシンデレラファイトの出場資格について、募集要項を確認すると、

 

■2023年4月時点で、プロ7年目以内であること。

 

■2022年12月時点で、麻雀プロ団体主催のタイトル戦での優勝経験がないこと(※新人戦を除く)。

 

となっている。

 

 

前回グループC決戦の時に筆者は、連盟の廣岡璃奈と最高位戦の相川まりえを紹介した。いずれも団体内の強豪で、順当に行けば勝ち上がりが濃厚であろう、と。そして、紆余曲折あったものの、廣岡と相川はラウンド16進出を決めてその実力を証明して見せた。

このグループDにおいて、戦前からその実力が確かだと言われているのは2名。

まずは♯1に登場する松本ちづる。連盟から協会に今期入会したばかりだが、プロ歴は通算6年で、麻雀歴は実に27年にもなるという。「歌舞伎町ルールが好き」と公言する実戦派で、このシンデレラファイトは東日本1次予選から勝ち上がってきた。

続いて、♯2に登場する夏目ひかり。こちらは、日本プロ麻雀協会第21期新人王だ。協会の新人王戦は男女混合で、筆者も参加したが、箸にも棒にもかからず敗退となってしまったのを、昨日のことのように思い出す。ストリートファイトを信条としており、フリー雀荘で戦った結果を日々Twitterに載せている。

レギュレーションの【プロ7年目】【※新人戦を除く。】という部分がなければ出場資格さえなかったはずのシンデレラたち、言葉を選ばずに言うと百戦錬磨の雀ゴロたちが、この最終グループDでついにそのベールを脱ぐ。くじで決まったことなので、誰かの意図が入っているわけでは決してないが、筆者は「最終グループってこういうことだよな!」とワクワクした。

起家を引いた松本は「東1局は絶対オリない。」と腹をくくって臨んでいた。しかし、そこに新榮有理が襲い掛かる。

というのも、新榮は配牌でドラ[白]暗刻を手にしており、仮にどこかから仕掛けやリーチが入ったとしても、オリる理由がなかったのだ。

[3][6]の両面チーで、カン[⑦]待ちの満貫テンパイを入れると、

美咲優菜[⑥][⑨]待ちリーチにも臆することなく勝負し、

2副露した親番松本から、8000点を召し取った。

 



この後も松本は終始苦しい戦いを強いられるが、逆襲のチャンスとなったのは南2局0本場だった。

 

 

赤が3枚集まったイーシャンテン。カン[4]ツモでの三色はもちろんのこと、カン[6]ツモでもリーチ・タンヤオ・ピンフ・赤3の12000が約束された手だ。仕上げれば、ラス抜けではなく、トップ通過を見たくなる。そのくらい垂涎のイーシャンテンだが、松本は両面の[③][⑥]を仕掛けて、カン[4]待ちテンパイに取る。

 

絵に描いた12000や4000/8000のイーシャンテンはいらない。今はただ1巡も早く8000のテンパイを。そしてアガリを。

そんなリアリスト松本の執念が、1番ほしい場所から点棒を引き出した。3着目小倉ゆさ[4]を放銃して、8000点の直撃。こうして松本は、オーラスを3着目で迎えることに成功したのだった。

南4局0本場、4者の点棒と条件は下の通り。

東家・新榮有理43500

南家・松本ちづる21000

西家・美咲優菜23300

北家・小倉ゆさ12200

親の新榮がトップ目なので、連荘があるとは考えにくい。小倉はこの1局で松本との8800点差をひっくり返さなければならず、それには2000/4000ツモか、トップを目指した美咲からリーチ棒が出るのを待っての8000出アガリが条件となる。ターゲットの松本は、おそらくリーチ棒を出さずにアガれるような手組みにしてくるだろう。

小倉か、松本か。松本か、小倉か。そんなことを考えている間に、2着目の美咲ではなく、トップ目の新榮から親リーチが入った。これには驚いたものの、松本はともかくとして、小倉には関係のないことだった。いや、むしろ追い風と言ってもよかったかもしれない。この親リーチを受けての対応が、2人の明暗を分けた。押す小倉と、引く松本。

「ツモ。2000/4000。」

開かれた手を、松本が確認する。ピンフ・ツモ・赤・ドラドラ。間違いなく2000/4000だし、新榮のリーチ棒があるから、どこからの出アガリでも3着にアップできる手だった。

(親リーチに無筋を押して、こんな手を育てていたのか・・・。でもこっちは3着目で、親に放銃するわけにもいかないしなぁ・・・。)

松本ちづる、オーラスに何もさせてもらえないまま、ラス脱落。深々と一礼をして、会場を後にする。シーズン3までの宿題を持って。

♯2でも、♯1同様、東1局の勝負がトップ通過者を決めた。

先制リーチは夏目。[5][6]待ちの並びシャンポンだが、高めのドラ[5]をツモれば3000/6000からと打点は十分。しかし、この待ち牌が山にはなかった。

夏目の待ち牌4枚のうち3枚を内蔵した西川が、意を決して追いかけリーチを敢行。1戦必勝の構えで臨む。しかし、この[②][⑤]も山にはほとんどなし。

では、西川の待ち牌はどこにあるのか、そして東1局は誰が制したのか。答えはどちらも親番の「りーみん」千歳りみだった。

 

急所のカン[③]を自力で引くと、

リーチ者夏目から[①]をポンしてテンパイ。打[七]で、チンイツ[⑥][⑦][⑨]の変則3面張に構える。

あとは、山にたっぷり残った[⑥][⑦][⑨]を3人で掘り返していく作業。最後は夏目が[⑨]をつかんで、千歳に12000点を献上した。

千歳は大きなリードをもらって、夏目は大きなビハインドを負って、それぞれこの後を戦うことになった。

南4局1本場を迎えて、4者の点棒と条件は下の通り。

東家・夏目ひかり17500

南家・千歳りみ31400

西家・酒寄美咲21300

北家・西川莉子29800

現状脱落ポジションである、親番夏目の手牌がいい。ドラ[2]を使いきれる急所のペン[3]を引き入れて、完全イーシャンテンに構える。ピンフになる[②][⑤][五][八]は5800は6100からでもちろんのこと、[二][七]が暗刻になるパターンのテンパイも、3900は4200からできっちり酒寄をまくることができる。

♯1での小倉ゆさしかり、DAY6の桃瀬古都・木下遥しかり、これまで数々の逆転劇を生んできたシンデレラファイトのオーラスに、夏目ひかりもまた新たな1ページを刻むことになるのだろうか。

しかし、ここで風雲急を告げる。きっかけは、夏目のターゲットになっている酒寄の[発]ポンだった。

酒寄は、続く自風の[西]もポンし、安全牌など興味ないとばかりに、あっという間にカン[⑧]テンパイ。

酒寄のスピードに合わせるように、トップ目の千歳も2副露して、ホンイツのカン[3]待ちテンパイを果たす。本人たちが意図していたかどうかは分からないものの、夏目ひかり包囲網はこうして完成したのだった。

酒寄の表情がいい。卓上に集中できている。そして腹をくくれている。夏目との真っ向勝負を楽しんでいる。ここでもし親からリーチと言われても、全部押すつもりなのだろう。

最後は、その酒寄が[⑧]を力強く引きつけた。[発][西]・赤の1300/2600。万感の思いが頭の中を駆け回り、卓上にあふれ出る。酒寄美咲、捨て身の仕掛けで3着を死守。

 

「愛すべきポンコツ」が、大きなことを成し遂げた。

松本ちづるに続き、夏目ひかりも1半荘で姿を消す。麻雀の残酷な一面をまざまざと見せつけられた試合だった。東1局は夏目が3000/6000ツモることもあるのが麻雀だし、南4局は夏目が先にリーチと言って他家が次々とオリていく展開があるのも麻雀なのだ。たまたま今回そうならなかっただけで。

♯3のメンバーを伝えるのに最適な画像があった。今までもあったけど、この観戦記に使おうと思いつかなかった。

♯1からは、美咲優菜と小倉ゆさが、♯2からは、酒寄美咲と西川莉子が、それぞれ集った♯3。この♯3もまた、東1局で腹をくくってめくり合いに勝ったシンデレラが特大のトップを手中に収めた。

先制リーチは西川。完全イーシャンテンから、両面の[4][7]を引いてテンパイ。ドラはないものの、赤1枚を従えて堂々とリーチを宣言した。ツモって裏ドラが1つ乗れば、2000/4000のアガリでリードが奪える。

しかし、そのリーチに立ち向かったのは酒寄。リーチの一発目に宣言牌マタギの[3]を、さも安全牌のように処理すると、西川のアガリ牌である[⑤]を暗刻にしてカン[2]待ちのテンパイ。チーしているのが[三][一][二]なので、三色・ドラドラで3900点と西川のリーチ棒回収を目論む。通っていない[五]も、当然勝負だ。♯2オーラス激闘の余熱を感じる。

西川のアガリ牌である[②][⑤]は、8枚のうち4枚酒寄が持っているわけで、リャンメン待ちvsカンチャン待ちの対決は、普通なら分の悪いカンチャンに軍配が上がった。酒寄はこのあと東2局で怒涛の連荘を決め、8万点持ちのトップ目に立った。酒寄無双だ。

ラス目となったのは小倉だが、小倉はオーラス追い込まれるよりも1つ前の段階で勝負をかけ、マラソンでいう「ロングスパート」の作戦を取ってきた。南3局1本場ではメンホン・一気通貫の手を、巡目と相談しながら最後はポンテンに取り、

3着目西川、2着目美咲との点差を詰めにかかる。

また、続く南3局2本場でも、

カン[⑤]で果敢にリーチと攻め、自身のアガリにこそ結びつかなかったものの、これが西川から酒寄への横移動を誘発し、結果的に点差を埋めることに成功した。麻雀は、自分がアガれなくても、ターゲットとの点差を詰めることができる。

小倉が西川を揺さぶり、翻弄する。いよいよ残る点差は5500点だ。

南4局0本場を迎えて、4者の点棒と条件は下の通り。

東家・美咲優菜10700

南家・小倉ゆさ1400

西家・酒寄美咲81000

北家・西川莉子6900

前局まで、3着目の西川とわずか1200点差だった2着目の美咲だが、今は3800点差に広がり、小倉のハネツモなどの親被りに耐えられるようになったのが大きい。1着から3着までが同価値であることを考えても、トップ目まで70300点離れていることを考えても、強引なアガリは不要だ。西川と小倉の動向に細心の注意を払いたい。

美咲が上のような状況であることは、小倉・西川もしっかり理解している。そんな中、小倉にファーストテンパイが入った。いや、小倉がファーストテンパイを入れた。リーチ・ピンフ・赤の3900点では西川に届かないものの、一発や裏ドラ1枚で8000になれば3着だし、

既に2つ仕掛けて手牌が短くなっている西川からの直撃も、十分に期待できる。また、ツモっての1300/2600で替わるのも大きい。

西川はこの後3副露目を入れて、完全に退路を断つ。

その後何度も何度も、小倉への放銃牌である[五]と待ち変えになる牌を引いてきたが、西川はとてつもない握力で[五]をキープ。歯を食いしばって耐えた。

派手なアガリのシーンではないし、劇的な逆転でもない3着キープだが、これもまた雀力を証明する立派な頑張りだったと思う。西川、お疲れ様。感動をありがとう。

最後は流局での決着となった。小倉ゆさ、しめやかに退場。南入してからの打点を作った攻めといい、思い切りのいい愚形リーチといい、オーラスの条件を満たした両面リーチといい、決して悪い出来ではなかった。それでもあと1牌は思った以上に遠く。

次回のDAY8でグループDのシード選手が現れて、全44人のシンデレラが登場することになる。あなたの推しは、もう決まっただろうか。

なお、スポンサーの麻雀×BarCitrus様では、7月25日(火)から8月5日(土)までの7日間、シンデレラファイトに登場した選手たちと直接会えるイベントを企画しているということなので、よかったら行ってみてください。筆者も、この日程とは少しズレますが、協会の先輩や同期に挨拶するために訪れる予定です。

次回Day8は7月28日(金)17時配信開始! ゲストは松嶋桃

DAY8は松嶋桃がゲスト解説!

シーズン2過去対局観戦記

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