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ついに今夜決定!ガラスの靴を射止めたのは…【シンデレラファイト シーズン2 Final 担当記者・中島由矩】

ついに今夜決定!ガラスの靴を射止めたのは…【シンデレラファイト シーズン2 Final 担当記者・中島由矩】

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大会の価値って何だろう?

■たくさんの選手たちが、ガラスの靴をほしいと思って。

■たくさんの選手たちが、SNSで視聴を呼び掛けて。

■たくさんのスポンサー様がついて。

■たくさんのファンが、推しに優勝してほしいと願って。

■たくさんの視聴者が、選手たちの一摸一打に熱狂する。

数多くのスタッフが裏方として動き、だからこそシンデレラたちがカメラの前で躍動できる。麻雀だけでいえば、今日も巷の雀荘ではドラマチックなゲームが繰り広げられているのだろう。しかし、シンデレラファイトは息詰まる試合展開以外にも、

■画面には点棒状況が素早く正しく表示され、

■美しい選手たちの入場演出がファンを盛り上げ、

■実況と解説の掛け合いが視聴者を魅了する。

今までのグループリーグやセミファイナルとは異なり、このファイナルは♯1と♯2が同一メンバーで行われる。ラス脱落がなく、その代わり1位にしか意味のない戦いということになる。ポイントの計算方法は、先日行われたMトーナメントのそれと同じだ。

このシンデレラファイトには、「プロ7年目以内で、タイトル獲得者以外」という出場資格があり、それが思いがけないドラマを生む。

現在プロ7年目の「あやちー」松田彩花にとっては、今大会がラストチャレンジだ。

♯1南3局3本場、あやちーは点棒がない中、懸命の手作りをするものの、[西][中]・ホンイツの8000点が見えたイーシャンテンで、勝負した[②]

木下遥のリーチにつかまる。リーチ・イーペーコー・ドラ3の、こちらも8000点だ。

松田は南4局0本場でも、必死に手を組み、運命に抗う。場に2枚見えていて明確にあと1枚しかないドラの[白]を重ねて雀頭にすると、声を振り絞ってリーチと発声した。待ち牌の[④][⑦]は山にいっぱいある。できればツモって、「リーチ・ツモ・赤赤・ドラドラ」の3000/6000に仕上げ、♯2につなげたい。

しかし山にたくさんあった[④][⑦]は、トップ目の新榮に行ってオリられ、

3着目の長谷川栞に行って使われ、

2着目の木下遥には行かず、テンパイを取り切られてしまった。

ラストイヤー松田彩花、♯1は4着でフィニッシュ。気持ちを切り替えて♯2にすべてを託す。

4選手の中で唯一、前回大会出場者で、なおかつ協会所属の長谷川栞は、このルールでトップを取ることの重要性を誰よりも理解していた。

東2局0本場のジュンチャン・イーペーコー(カン[⑧]待ち)ダマで8000点を手にし、有利なポジションでゲームの主導権を握って進めたかったが、

新榮有理の8000点に競り負けてしまったのが痛恨だった。

それでも長谷川は、めげずに攻める。正確な山読みから、チートイツをツモると、

裏ドラが2枚乗って、3000/6000のアガりに仕上げた。チートイツが決まるときの長谷川はいい。

1回戦3着はやや誤算だが、このルールを熟知し、麻雀の腕でシンデレラになりたい長谷川にとっては、逆によかったかもしれない。2回戦で大きなトップを取り、1回戦連対の2人を一気にまくりにいきたい。

予選から勝ち上がり、誰よりも多くの半荘を、しかも圧倒的な差をつけて戦ってきた木下遥。余談になるが、もしシーズン3があるなら、ぜひ木下にシードをあげてほしい。

木下はセミファイナルまでのような麻雀ができず、東場をラス目で折り返した。しかし、迎えた南2局0本場にピンフ形でリーチを掛けると、

ダブドラとなる[赤⑤]を一発ツモ。3000/6000で一気に戦線復帰し、輝きを取り戻す。

南4局0本場は、松田のリーチに一歩も退かずテンパイを取り切って、流局に持ち込み、

南4局1本場は、両面の[4][7]チーから発進し、[発]バックの形にしてどうにか未来をこじ開けようともがいたものの、

新榮が、速度を合わせる五面張部分チー([三][三][三][四][五][六][七])でこれに対抗。僅差で競り負けてしまった。2回戦では、上家になる新榮を3着以下にしてトップを獲得し、栄冠を勝ち取りたい。

松田の赤赤ドラドラリーチの当たり牌を押さえ、長谷川のダマ8000に競り勝ち、木下のオーラス親を落として、♯1トップをさらったのは新榮有理。

 

新榮は♯2で、

■木下がトップ目なら、自身は2着目で素点差11000点差以内

■長谷川がトップ目なら、自身は3着目より上

■松田がトップ目なら、自身は4着目より上

 

を目指して麻雀をする。この条件は、セミファイナルまでに経験していないので、一抹の不安はあるものの、それも含めてシンデレラファイトということなのだろう。

♯2はレギュレーションにより、座順が決定している。

東家・木下遥(♯1・2着)

南家・長谷川栞(♯1・3着)

西家・松田彩花(♯1・4着)

北家・新榮有理(♯1・1着)

♯2は、♯1・2着の木下遥と、♯1・1着の新榮有理の2人によるデッドヒートとなった。

新榮が東1局に8000(タンヤオ・三色・赤赤)で先制すると、

東2局1本場では、自風の[西]が暗刻のテンパイから、ホンイツに渡る[六]トイツ落としを敢行し、

上家・松田のリーチを受けて追いかけリーチ。麻雀はサッカーやバスケなどのスポーツとは異なるので、表情にこそ出ないものの、♯2の新榮には鬼気迫るオーラがあった。何が彼女をそこまで駆り立てるのか。

1回戦トップを獲得したのに、何をそんなに押すことがあるんだろう。しかし、この押しが後に生きてくる、効いてくる。新榮の判断は、間違っていなかった。シーズン3の決勝卓を目指しているシンデレラたちは、ぜひ参考にしてほしい。

ところで、♯1・4着で、この♯2もラス目の松田だが、シンデレラになるために大きな大きなチャンスが、たった1度だけ回ってきた。東3局親番の配牌から見ていこう。

これが新榮なら、木下なら、あるいは長谷川なら、他の手役を目指す構想もあったかもしれない。しかし、♯1ラスで現在♯2もラス目の松田だからこそ、この手は役満に仕上げて48000点をゲットしたい。

仮に16000は16100オール(供託1000)をツモった場合、

東家・松田彩花57000(△59.1)→+17.9

南家・新榮有理14900(+63.9)→+38.8

西家・木下遥20200(+12.9)→+13.1

北家・長谷川栞7900(△17.7)→△69.8

 

となり、この後どうなるか分からない。一例だが、松田はさらにこのあと新榮から7700は8300をアガるだけで、

 

東家・松田彩花65300(△59.1)→+26.2

南家・新榮有理6600(+63.9)→+10.5

西家・木下遥20200(+12.9)→13.1

北家・長谷川栞7900(△17.7)→△49.8

 

となって、一躍ヒロインの座を射止めることができるのだ。

松田は垂涎のリターンである48000に向かって、[西]ポンに続いて[北]もポン。

さらには[南]もポンできて4センチのイーシャンテンにすると、待望の[東]を引き入れて、ここで満を持して[八][九]のペンチャンを外す。ガラスの靴まで手が届きかけ、

最後は両面の[一][四]を入れてテンパイ。この[東]タンキが山に1枚いる。

ところが、松田が渇望したラス牌の[東]は、よりにもよって長谷川のもとへ舞い降りた。松田、千載一遇のチャンスを逃す。

 

しかし、松田の不運はこれだけで終わらなかった。

これは筆者の憶測なのだが、長谷川や新榮の動向から、山にもう[東]がないことに、木下が気づいたのだろう。[5]を重ねて両面テンパイすると、優勝してシンデレラになるため、蛮勇を奮って[二][五]待ちのリーチを宣言。[東]がもうない松田vs[二][五]がある木下。視聴者目線でいうと、この物語の結末はもう見えている。

木下の執念が、役満テンパイの松田に、この[五]をつかませた。

裏ドラが乗らなかったことは、麻雀の神様のせめてもの配慮か。いや、麻雀の神様がもし本当にいるのなら、ラス牌の[東]は長谷川でなく松田に届けてほしかった。とにもかくにも、2600は2900が松田から木下に移動し、木下は新榮と11000点差をつけるまで残り1200点と迫った。木下が差すか、はたまた新榮が逃げ切るか。

 

ここから先は、観戦記というよりは、記録として残しておく。

 

南1局1本場に、新榮が1000/2000は1100/2100をツモって木下を再逆転。

南2局2本場は、長谷川が松田から5800は6400。ピンズの両面ターツを外してホンイツに仕上げ、高め12000にまで仕上げてきた進行はさすがだった。

しかし、新榮も黙ってはいない。1回戦トップの新榮が、ここまでリーチ・リーチと攻め続けてきたのは、12300点上にいるライバル木下の存在があるからだった。

南2局3本場、高め[四]の三色で8000は8900になることはもちろん、安め[七]でも2600は3500で優勝ポジションになれる役あり両面リーチを打った。

 

しかし、ここは他家が丁寧に対応して、新榮の1人テンパイで流局。だが、この点棒移動で、新榮は木下を上回り、優勝ポジションに返り咲いた。木下は新榮に対して11.0ポイントビハインドで♯2をスタートしており、逆転のために必要な点数は、わずか1700点だ。

いよいよ、シンデレラの決まる時間が近づいてきた。あいにく12時の鐘とはいかなかったが、ただいま22時38分。

赤赤の配牌を手にした新榮は、ピンフを目指して打[中]を第1打に選ぶ。

仕上がるまでに要した時間はわずかに4巡だった。新榮は、[1][4]待ちでリーチを宣言。

 

この早い親リーチは、3者にとって大きな試練だった。木下はまだしも、大きく離された長谷川・松田は万が一にもうっかり放銃するわけにはいかない。辛い時間が続くが、辛抱強く通りそうな牌を選んでいく。これもまた、大会決勝の姿だった。

運命の13巡目、木下が[3][4][4]の部分を使って「チー。」と発声した瞬間、このシンデレラファイトの結末が見えた。ここでチーするということは、テンパイを取るという意志であり、テンパイを取るためには打[4]とするより他、ない。

果たして新榮のカラフルな手牌が開かれた。リーチ・ピンフ・赤3・ドラの18000は18300。次局は、条件が厳しくなった3者はテンパイを入れることができず、全員ノーテンで終了。長きに渡ったシンデレラたちの舞踏会は、厳かにその幕を閉じたのだった。

 

2023年8月26日(土)22時50分、新榮有理が2代目シンデレラに着座。前回優勝の三浦ももこが3連勝で決めたように、今回の新榮も2連勝で鮮やかに優勝した。

新榮有理、最高位戦日本プロ麻雀協会東海支部所属の2年目。プレイヤーとして麻雀をするだけでなく、実況者としても活躍している。シンデレラファイト決勝戦があった翌日は、名古屋でセットをしていたそうだ。麻雀への熱量がすごい。筆者がもしシンデレラになったなら、1ヶ月くらいは麻雀をせずに余韻だけで生きていきたい。

「一生懸命攻めて、一生懸命オリる」が信条の松田彩花をかわし、ネット麻雀強者の長谷川栞を退け、最終局まで競った木下遥の猛追を18000直撃で降し、艱難辛苦を乗り越えて新榮は見事ガラスの靴を手にした。特に♯2で打った数々の高打点リーチは、ダマでかわすのではなく、圧倒的な差をつけて優勝しようという、新榮の心の声が聞こえたようでもあった。

麻雀は、ひとたび対局が終わったら【ノーサイド】の状態になるケースが多い。対局者どうしの関係性が近いこのシンデレラファイトはなおさらだ。松田も長谷川も勝者をたたえるポーズをしつつ笑顔で、最後の1牌まで新榮を追い詰めた木下は、及ばず最後はカメラの前で凛として立ち尽くし、みんなで1枚の写真に収まった。

4人とも本当にお疲れ様。感動をありがとうございました。心から尊敬しています。

シーズン2過去対局観戦記

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