健康管理で行っていることはありますか?
「13年前までは1日5箱は吸うチェーンスモーカーだったんです。安藤満プロが亡くなって、その2週間後に作家の鷺沢萠さんも亡くなった頃、ふたりからものすごい御呼ばれが来たのか、喘息が止まらなくなった時期がありました。病院に行ったら、肺がんかもと言われて、1ヶ月間の検査入院。結果は細菌性の肺炎だったので、薬を投与して治ったんですが、このときにタバコをやめました。やめたら太り始めたんで、12年前から加圧トレーニングを毎週1~2回、欠かさずやっています。入院してたときに、ずっと大好きな地図を見ていて、もし助かったらまだ降りたことのない駅に行ってラーメンを食べようと想像していたんです。だから退院してからは、朝4時に起きて、お昼ぐらいに仕事の区切りをつけて、それ以降はネタ拾いとか、ラーメンを食べに出かけるという感じです。酒の飲み過ぎで胆嚢も取って肝臓も切ってますけど、全然変わらずですね(笑)」
麻雀を始めたのは?
「覚えたのは中学校の頃。一番どっぷり浸かったのは、予備校の2年間ですが、大学でもどっぷり浸かってました。その頃、竹書房が主催する『東京六大学麻雀リーグ』が開催されていました。ある日、麻雀部のキャプテンが、僕のところに来て、早稲田を助けてくれって言うんです。それから大会に出るようになったことがきっかけで、竹書房と関わりを持つようになったわけですから、縁って不思議ですね」
この仕事を目指す人へのアドバイス
「まずはどんどん書くことです。そして書いたものを出版社に持ち込むことです。そこでどんなにけなされようが、何を言われようが食らいつく。誰でも自分の実体験をベースにすれば、1~2本は書けるとは思います。そこから続けられるかどうかに関しては、努力が必要です。僕も竹書房時代、超売れていた作家のところに原稿を見て頂けませんかと持って行ったら、読んでもらえず、破かれて5階の窓から捨てられこともありました。もしもこの世界に興味があって、何かしら書いた人がいたら、僕に送って頂けたら必ず読みます。その人の個性を伸ばすことが大事だと思うので、助言ぐらいはしますんで」
来賀先生にとって麻雀とは?
「今の人生をすべてかけたものが麻雀です。思い返しても18歳から61歳になったこれまで、麻雀以外のことを考えたことはありません。いつも麻雀が一番。もしも生まれ変わったら、早いうちから麻雀の勉強をして、ものすごく強いプロになりたいですね。将棋界の藤井聡太四段のように(笑)」
最新刊「麻雀飛龍伝説 天牌」第90巻も絶賛発売中。©来賀友志/嶺岸信明/日本文芸社
インタビューを終えて
28歳のデビューからこれまでの33年間、1本も落とさず締め切りを守り、4000本近くの原作を書き上げてきた来賀先生。来賀友志はペンネームで「来賀」は空閑(くが)緑という、文藝春秋社の創始者でもある菊池寛の友達で、麻雀を全国に広めた方の名前から。「友志」は志を同じにする友という想いを込めてつけたという。「机の前には、ハンカチに包んでバカラグラスに入れた安藤満プロの右肩の骨を置いてます。志半ばで逝ってしまったので、今でも頼むよって言われているような気がしているんです」。そんな思い出を語ってくれたのは、インタビューの場所が、新宿ゴールデン街だったからなのかもしれない。
インタビュー・文責:福山純生(雀聖アワー) 写真:河下太郎(麻雀ウオッチ)
マージャンで生きる人たち back number
- 第1回 株式会社ウインライト 代表取締役社長 藤本勝寛
あらゆる挑戦は、すべて〝妄想〟から始まる - 第2回 株式会社F・R・C代表取締役 香宗我部真
<作業>が<仕事>に変わった先にあるもの - 第3回 ターナージャパン株式会社 制作部 プロデューサー 上島大右
好きなことを仕事にしようと考えるより、自分の仕事を好きになる努力するほうがいい - 第4回 フリーアナウンサー 土屋和彦
しゃべるのが仕事。しゃべることを取材することも仕事 - 第5回 株式会社セガ・インタラクティブ セガNET麻雀MJディレクター 高畑大輔
「マージャンのおかげでキレなくなりました(笑)」 - 第6回 RTD株式会社 代表取締役 張敏賢
「目指すは、新しいマージャン文化の創造」 - 第7回 漫画家 片山まさゆき
「盆面〈ぼんづら〉がいい人生。仕事も麻雀も。そうありたい」 - 第8回 株式会社アルバン 専務取締役 船越千幸
「奪い合うのではなく、増えるきっかけを生み出す」 - 第9回 健康麻将ガラパゴス創業者 田島智裕
「参加者に喜ばれ、なおかつ社会的意義のあることをやり続けたい」 - 第10回 株式会社日本アミューズメントサービス代表 高橋常幸
「希望が持てる業界を構築し、麻雀で社会を変えたい」 - 第11回 《More》プロデューサー 菊池伸城
「躊躇なく一気にやることで、世界は開ける」 - 第12回 麻雀キャスター 小林未沙
「想像力をどれだけ膨らませられるかが勝負です」 - 第13回 麻雀評論家 梶本琢程
「面白かったら続けたらいい。うまくいかなかったら次を考えたらいい」 - 第14回 麻雀AI開発者 水上直紀
「常識を疑い、固定概念を崩したい。強くなるために」 - 第15回 麻雀観戦記者 鈴木聡一郎
「ニュースがライバル。そう思って書いてます」 - 第16回 株式会社サイバーエージェント AbemaTVカンパニー編成部プロデューサー 塚本泰隆
「決断したことに後悔はしない。麻雀から学んだ思考です」 - 第17回 劇画原作者 来賀友志
「麻雀劇画の基本は〝負けの美学〟だと思っています」 - 第18回 株式会社シグナルトーク代表取締役 栢孝文
「始める、続ける、大きく育てる。愛する麻雀の“弱点”を補うために」 - 第19回 フリーライター 福地誠
「まだ本になったことがない新テーマの本を作りたい」 - 第20回 声優 小山剛志
「もがき、あがき、考える日々。一体いつまで続けられるのか」 - 第21回 映画監督 小沼雄一
「大変だけど、やってみる」 - 第22回 麻雀企画集団 バビロン総帥 馬場裕一
「プロは『人が喜ぶ』」 - 第23回 点牌教室ボランティア 松下満百美
「やってあげてるという意識は無いほうがいい」 - 第24回 フリーアナウンサー 松本圭世
「高校野球中継のスタンド取材が今に生きています」 - 第25回 子供麻雀教室講師 山本健
「好きな言葉は、テンパイ即リー、数打ちゃ当たる!」