麻雀界と将棋界との違いは?
塚本さんはAbemaTVで2017年2月からスタートした「将棋チャンネル」にもプロデューサーとして携わっている。史上最年少でプロ棋士入りした藤井聡太四段が羽生善治三冠に勝利した番組『藤井聡太四段 炎の七番勝負』は、衝撃的なニュースとなっていた。
「麻雀と将棋、両方に携わっている立場から比較してみると、将棋界は権利関係や見せ方、スポンサーを含め麻雀界よりも断然整備されています。プロの世界としての歴史もあるので当然かもしれませんが、麻雀もAbemaTVのコンテンツとして放映し続けていくことによって、将棋界と同様にプロ雀士としての価値を高めていくことに寄与できたらと思っています。プロ雀士の価値が上がれば、業界全体の活性化にも繋がっていくはずです」
麻雀を始めたきっかけは?
「中学生の頃、友達同士で麻雀を始めたのが最初です。以来、あっという間に虜になり、実は学生時代にプロテストを受け、最高位戦日本プロ麻雀協会に所属していました。就職を機に退会したのですが、もちろん今でも麻雀は打っています」
塚本さんにとって麻雀とは?
「決断したことに後悔はしない。これは麻雀から学んだ思考です。麻雀は一打一打に自己責任が伴うわけで、決断した打牌に対して結果が出るわけです。うまくいったなとか、しょうがないなとか、目に見えない不確定な状況に対する決断によって出る結果は、仕事とまったく同じです。仕事でも全力で取り組んだり、真摯に取り組んだとしても結果が伴わないことも多々あります。逆に意外なことで結果が出ることもあるわけです。決断したことに後悔はしない。でも反省はしよう。失敗したら考え方が間違っていたんじゃないか。もっといい手順があったんじゃないかと必ず反省する。この思考は仕事でも生かされています。だから麻雀はメンタルを鍛えてくれる師なのかもしれません」
この仕事を目指す人へのメッセージ
「麻雀界における仕事は、麻雀が好きな気持ちがあれば、無限に広がる魅力があります。実際、AbemaTVもスタートしてまだ1年です。新事業として誕生し、そこに新しい仕事が生まれたわけです。私も番組を通じて、麻雀の魅力を再確認しています。麻雀はトータルで見ても面白いのですが、局面を切り取って見ても楽しめるものです。こういった楽しみ方をどう形にして、コンテンツとして提供できるのかは、まだまだやり方があると思うので、チャレンジしがいはありますね」
インタビューを終えて
RTDリーグについて、巷の愛好家にも話を聞いてみた。「旬なプロたちがしのぎを削り合う、あのヒリヒリする戦いこそ麻雀の醍醐味だよ」(68歳・麻雀歴60年男性)。「RTDリーグで点数計算を勉強しています」(36歳・麻雀歴5年男性)。「仕事で疲れた時、滝沢和典プロの華麗な所作に癒してもらっています」(29歳・麻雀歴1年女性)。真剣対局だからこそ生まれる人間ドラマは、世代を超え、ベテランから初心者までをも虜にしていた。個人戦から団体戦まで、麻雀愛溢れるコンテンツが生み出す化学反応によって、今後どんな人間ドラマが紡ぎ出されていくのか。物語はこれからも続いていく。
インタビュー・文責:福山純生(雀聖アワー) 写真:河下太郎(麻雀ウオッチ)
◎AbemaTV
https://abema.tv
◎株式会社サイバーエージェント
https://www.cyberagent.co.jp
◎RTDリーグは、いよいよ2017/8/12(土)14:00から準決勝が開幕する
//mj-news.net/news/rtd/2017081073561
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