- 『ネマタの第八期天鳳名人戦牌譜検討』は、麻雀研究家・ネマタさんが「第八期天鳳名人戦」で気になった局面を取り上げていくコラムです。
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第四節二回戦C卓
▼対局者
就活生@川村軍団
ASAPIN
独歩
Ⓟ石橋伸洋
1面子も無い手ですが、ドラ3枚のチャンス手。ダブドラ3もドラ3もほぼ打点が変わらないので1枚切れの東を選択(ドラ2以下なら、重なりやすさよりは打点差を優先してを残すのが有力。)。
ただし19牌を残してもあまりアガリやすくならない手なので、個人的には打(ツモでリャンメンができるのでは残す)としそうです。
ドラ無しの手なら、2枚引きからの567三色までみて打としそうですが、ドラ3ならアガリやすさ優先。二度受けのペンチャンを残すよりは、重なりからの仕掛けをみた方がアガリやすそうです。
だけでなくツモやチーで受けが増える変化をみて残し。守備力に関しても、生牌のと、南家には現物で、4枚見えからリャンメン以外には当たりにくいならむしろ後者の方が高いかもしれません。
ドラ筋のは容易に切られる牌ではなく、は全員に両無スジで東は共通安牌。テンパイになった場合に出アガリがききやすい。ここまで条件が揃えば先切りが有力でしょうか。
「高打点の時ほど安牌を抱えず目一杯に受ける」のがセオリーとされますが、そのようなセオリーが共通見解だからこそ、を先に切っていれば、「で当たったとしても安い」と思わせられるので先切りが効果的になるとも言えます。そう考えると、元々高打点の時ほど、「更に高打点を狙うよりはアガリやすさ優先」ではありますが、テンパイ率そのものについてはさほど気にしなくてもいいのかもしれません。
西家は待ちテンパイでしたが、ツモでテンパイを崩して打。が東家に当たるとすればからをチーしたケースですが、やより先にを切ったことになるのでその線は無さそうです。マンズが通りやすいうえに、より後からが出ているのでピンズ待ちの可能性が薄いとなると、ソーズ待ちの中で通っていないは結構当たりやすいと言えます。
それだけならテンパイを崩すほどではなさそうですが、ASAPIN氏はこの時点で東家はタンヤオドラ3っぽいと読んでいたとのこと。特別薄くもないリャンメンが早い段階でチーされた。1枚切れダブが早い段階で切られたのに発が引っ張られている。自分視点からドラが見えておらず、東家以外の他家も降り気味に打っている。このあたりが理由でしょうか。リャンメンチーだけでドラが固まっていると読むのは早計ですが、複数の要素が揃えば案外読みが当たることも多いと言えます。ツモったのがではなくだったとしても止めたのかどうかは気になるところです。
一旦ツモでアガリを逃しますが、その後をツモって300−500のツモアガリ。回っても加点チャンスが残ることもを止めた理由の一つでしょう。この辺りの押し引きの兼ね合いを、自分ももっと突き詰めていきたいと思わされました。