ファンに向けて自身の情報を発信することも多いプロ雀士。そんなプロ雀士たちはどのようにSNSを活用しているのだろうか。最近では、多くのプロが利用しているTwitterに加え、InstagramやYouTubeによる発信も増えてきた。今回は男性プロ雀士のSNSのファン数をランキング形式にして、その発信力の高さを計測した。上位には果たしてどのような顔ぶれが並ぶのだろうか。(※記事中のフォロワー数・チャンネル登録者数は2021年12月時点のものです。)
【Twitter】ほとんどのプロ雀士が利用
男女を問わず、プロ雀士のほとんどが利用しているSNSがTwitterだ。対局結果を速報したり、出場する試合や今後の予定を告知したりと様々な目的で利用されている。利用方法に着目すると、男性プロと女流プロでかなりの違いがある。女流プロの場合は、Twitterを使ったセルフプロデュースを展開することも多いが、男性プロのツイートは身の回りの出来事や麻雀に関することが大半。日常をファンに伝える、いたってシンプルなTwitter利用方法といえる。
Twitterの利用法①対局分析
8000オールの恵まれた展開にも関わらずここまで追い込まれましたがなんとか逃げ切れてホッとしました…
— 朝倉康心/ASAPIN? (@asakurapinpin) December 7, 2021
ラス前の36s聴牌からの3m単騎待ち変えをしなかったのがどうだったかという感じです。結果最悪に。
全体的に他家の捨て牌に過剰反応し過ぎたかも? https://t.co/VBHHgMIC8q
近年、Mリーグ以外でも各プロ団体が行っている看板タイトル戦やリーグ戦が生配信される機会が増えた。Twitterではそれらの試合速報はもちろん、さらに一歩踏み込んだ発信も行われている。例えば、Mリーグ・U-NEXT Piratesの公式Twitterでは、対局を終えて会場を出た私服姿の選手が、勝負を分けた一打について語り合う「路上感想戦」が人気を集めている。そのPiratesに所属する朝倉康心プロはTwitterで対局中の心境や打牌選択の理由についてツイートすることも多い。それに対してファンもコメントを寄せ、コミュニケーションの一環となっている。従来、こうした検討にはブログが活用されていたが、現在は手軽に発信を行えるTwitterで検討を行う麻雀プロが多い。麻雀界を取り巻く環境が大きく変わったことがうかがえる。
Twitterの利用法②所属チームと連携
前日比マイナス0.7キロ。なんとか耐えております!!昨日夜中に起きて眠れなくなってしまい、ちょこっとツイートしたら誤字してました…めっちゃ、の「ち」が抜けてました!!今日は夕方までMJモバイル入ります、東風ファイナルステージです!休憩しつつですが、よろしくお願いいたしますm(_ _)m pic.twitter.com/zKKKcRytjR
— 村上 淳 (@zunzuntantan) December 23, 2021
Mリーガーのツイートには、ロッカールームでの一コマを切り取ったものが多いのも特徴だ。各チームとも動画配信サービスとも連携して、舞台裏を伝えるファンサービスに本腰を入れており、選手とチームが連携する形でファンへの発信を行っている。「お腹周りが気になる」と語る赤坂ドリブンズの男性陣は、全員での減量を目指して「ダイエットドリブンズ」というTwitterアカウントも立ち上げている。「牌効率より体脂肪率」を合言葉に、選手は食事の様子や体重測定の結果もツイートしている。
【Twitter編】男性プロ人気度ランキング10 - 人気Youtuber棚澤龍昇が1位
順位 |
氏名 |
フォロワー数 |
リンク |
1位 |
棚澤龍昇 |
310,532 |
|
2位 |
101,526 |
||
3位 |
79,959 |
||
4位 |
69,639 |
||
5位 |
59,551 |
||
6位 |
58,900 |
||
7位 |
51,208 |
||
8位 |
50,797 |
||
9位 |
48,832 |
||
10位 |
朝倉康心 |
48,302 |
|
11位 |
45,228 |
Twitterのフォロワー数でトップに立ったのは、棚澤龍昇。たなっちというニックネームで呼ばれ、チャンネル登録者数211万を誇る「はじめしゃちょーの畑」を構成するメンバーの一員だ。プロ入会は2021年7月だが、早速四神降臨の団体対抗戦で日本プロ麻雀協会の配信者枠代表として対局に出演。今後の活躍に期待が高まる。2位は多井隆晴プロ(RMU・ABEMAS)。「最速最強」「麻雀界のカリスマ」と呼ばれる多井が、その影響力を証明する形となった。3位以下は初年度から活躍を続けているMリーガーの名前がずらりと並んだ。Mリーグの高い知名度がMリーガーのフォロワー数も押し上げていることがわかる結果だ。
初年度Mリーガーが上位に
2位の多井はMリーガー唯一の10万人超え。3位の佐々木寿人、4位の滝沢和典は日本プロ麻雀連盟の看板プロである。2021年シーズンからは麻雀格闘俱楽部のチームメイトとなり、「タキヒサ」コンビの相乗効果でフォロワー数も伸ばしている。5位には小林剛(麻将連合・Pirates)。6位には若手実力派の白鳥翔(連盟・ABEMAS)がランクインした。
Instagramは未開設のプロが多い
女流プロ雀士のSNSフォロワー数で最多のフォロワー数を記録したのは「まりちゅう」こと長澤茉里奈のInstagram。その数はなんと100万人にも迫った。しかし、男性プロの場合はフォロワー数以前に、アカウントを開設しているプロが極端に少ない。熱い勝負を繰り広げる歴戦の勝負師たちと、華やかな「インスタ映え」を結び付けることは難しいのだろうか。だが、Mリーグ人気の影響もあり、タレントやお笑い芸人、YouTuberなどの華やかな異業種から麻雀界に挑戦するケースも増えている。現状では男性プロの利用者が少ないInstagramだが、今後の発展に期待したい。
【YouTube】コロナ禍以降に急拡大
Mリーグの幕開けによって知名度や人気が急上昇した男性プロ雀士。その流れの中でコロナ禍による自粛期間が重なり、YouTubeチャンネルを立ち上げる流れが加速した。女流プロのYouTube動画はトークや企画が中で、バラエティ色が強いものが多い。その点、男性プロのチャンネルは麻雀をメインコンテンツとしたチャンネルが中心だ。詳細な対局検討や雑談しながらオンラインゲームでの対局配信など、それぞれのプロの強みを前面に押し出て配信を行っている。
YouTubeの利用法①対局検討
Mリーグ発足以降は、対局検討がYouTubeで配信されることも多くなった。対局に臨んだプロ本人が振り返る番組から、他のプロが中継を見ながら解説を入れていく同時配信までスタイルは様々だ。本格的な対局検討を、終了後の深夜に楽しめるのが園田賢(最高位戦・ドリブンズ)の「その研 -園田賢の麻雀研究所-」だ。配信時には牌譜も出来上がっており、園田と助手の鈴木聡一郎との軽妙な掛け合いを楽しみながら対局検討で戦術を学ぶことができる。ひとり語りではない分、対局時の心理状況や対戦相手の情報などが豊富に引き出されている。
YouTubeの利用法②ゲーム実況
現在の麻雀人気を支えているのがオンライン麻雀ゲームである。なかでも人気の高い「雀魂 -じゃんたま-」はYouTubeを活用したプロモーションに積極的で、プロ雀士やVTuberとのコラボも多い。最高ランクを目指して雀魂に参戦するプロも増えており、最高ランクの「魂天」に到達した朝倉は、雀魂で開催された大会で対局を行う動画も配信している。鈴木たろう(最高位戦・ドリブンズ)は、雀魂配信をファンとの交流として活用している。自身のチャンネルのメンバーと「友人戦」を行う様子をライブ配信し、Mリーグでの近況などについての雑談も交えながらも真剣に対局を楽しんでいる。
YouTubeの利用法③異業種とコラボ
プロ雀士とのコラボを積極的に展開している公営競技も存在する。「麻雀プロ競輪部」では、鈴木たろう、滝沢和典、愛内よしえ、水口美香の4人が日替わりで登場して競輪の予想を披露している。麻雀界におけるトッププロたちが、真剣な表情で予想をしている姿は必見だ。また、多井隆晴とボートレース蒲郡によるコラボ番組「多井ボート〜リーチ一発万舟物語」もスタートした。多井がABEMASの松本、日向を引き連れて、レースの的中を目指すバラエティだ。松本はボートレース好きを公言しており、玄人顔負けの予想をしている。ボートレースを知らずにこの動画を視聴したという方も多く、多井の影響力の高さを示す形となった。
【YouTube編】男性プロ人気度ランキング※登録者数1万人以上のチャンネルのみ
順位 |
氏名 |
登録者数 |
リンク |
---|---|---|---|
1位 |
多井隆晴 |
132,000 |
|
2位 |
鈴木たろう |
37,800 |
|
3位 |
26,600 |
||
4位 |
園田賢 |
25,100 |
|
5位 |
朝倉康心 |
21,300 |
|
6位 |
13,200 |
男性プロが個人で運営しているYouTubeチャンネルで、登録者数が1万人を超えているのは6チャンネル。登録者数が最多となっているのは、多井の「たかちゃんねる」で13万2千人。チャンネル開設は2020年4月だが、着実に登録者数を伸ばしており、すでにツイッターのフォロワー数を追い抜いている。Mリーグの盛り上がりや各団体や麻雀メディアによるYouTubeチャンネルの人気を考えれば、多井プロクラスの大人気チャンネルが新たに登場することも決して夢ではない。また、ここでは棚澤龍昇の属する「はじめしゃちょーの畑」は個人運営ではないためランキング対象外としている
本格派プロの思考が楽しめる
「たかちゃんねる」では、牌譜検証・ゲーム実況・ポーカー・ボートレース、VTuberコラボなど何でもありのチャンネルだ。2~6位にはMリーガーの中でも本格派のプロ、団体のタイトルホルダーが顔を揃えており、いずれも麻雀に特化した内容が特徴のチャンネルとなっている。
SNSで最も発信力のある男性プロは?
順位 |
氏名 |
フォロワー数 |
URL |
1位 |
棚澤龍昇 |
310,528 |
|
2位 |
多井隆晴 |
233,526 |
|
3位 |
鈴木たろう |
82,191 |
|
4位 |
佐々木寿人 |
79,959 |
|
5位 |
白鳥翔 |
78,663 |
|
6位 |
滝沢和典 |
69,639 |
|
7位 |
園田賢 |
63,896 |
|
8位 |
朝倉康心 |
62,302 |
|
9位 |
松本吉弘 |
62,247 |
|
10位 |
小林剛 |
59,551 |
|
11位 |
渋川難波 |
56,548 |
雀力も発信力も最強だった多井
総合トップに輝いたのはTwitter、YouTubeどちらでも突出している棚澤龍昇、だが、麻雀プロとしての活躍はまだまだこれからだろう。多井隆晴は実績のあるプロ雀士としては類まれなる数字となっている。並外れた雀力だけでなく、発信力でも他を寄せ付けない結果となった。
上位には人気と実力を兼ね備えたMリーガーが並んだ。Twitterだけの数字でベスト10に入った「タキヒサ」コンビと「コバゴー」は、長い間保ってきた人気が健在であることを示している。11位にはMリーグ公式解説者としてもおなじみ渋川難波(協会)。協会の最高峰タイトル「雀王」も獲得し、勢いに乗っている渋川も確かな発信力を示した。
Mリーグ人気で新たなファン層も獲得し続けている麻雀界。その魅力をどれだけ伝えられるかは、実際の舞台で戦う麻雀プロにかかっているといっても過言ではない。SNSの発信力を活かして、麻雀界がさらなる発展を遂げることに期待しよう。